過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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404: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:37:07.80 ID:rMwp2u+So

「お前、睡眠と食事は摂れって言っただろうが。」

「正に今、寝てたろォが。」

以下略



405: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:39:09.91 ID:rMwp2u+So

「病院か、それとも誰か呼ぶか。」

今彼女に必要なものは医者ではないだろう、と思いながら男は言った。あの冥土返しにだって治療できなかったものを治せる医者などいないだろうし、一時凌ぎのことならともかく現代の医学で根本的な解決はできまい。
だからといって自分がどうにかできる状況でもない。魔術師としても能力者としても中途半端な体である。多少のリスクを承知で魔術を使用するという手もなくはないが、自身の専門である風水は人の治療などには向かない。風水は空間や建物など比較的大きなものを対象とする魔術であるから、空間などを介して人に影響を与えることは可能だけれども、繊細な作業は得手ではないのだ。だから昨夜だってさして長居もせずに差し入れを置いて帰るだけ、という何とも情けないことしかできなかった。
以下略



406: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:40:26.15 ID:rMwp2u+So

「なぁ、」

「お前は何でそこまでするんだ。」

以下略



407: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:41:56.69 ID:rMwp2u+So

「誰かを気遣ったって、それで自分が死にかけてりゃ、世話ないだろ。」

「そうかもしンねェけど、やってみなきゃ分かンねェ。」

以下略



408: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:42:45.93 ID:rMwp2u+So

「おキレイな世界に馴染もうとしたって、結果はこれだ。ボロボロになっただけだろ。」

「俺の勝手だ。オマエにどうこう言われる筋合いは、ねェ。」

以下略



409: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:43:15.63 ID:rMwp2u+So





以下略



410: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:45:41.75 ID:rMwp2u+So

「………、は、」

持ち上げるのも容易でないと言わんばかりに薄く伏せられていた彼女の瞼が、ぱちりと見開かれていた。照明も点いていない、窓の外の街灯が漸く差し込むだけの薄暗い部屋の中で、彼女の赤い目だけが男のサングラスの向こうを見通そうとしていた。

以下略



411: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:46:30.60 ID:rMwp2u+So





以下略



412: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:50:41.73 ID:rMwp2u+So

安っぽい飴のようにぎらぎらと光を湛えているだけのように思っていた女の目が、確かに違った色を見せた。宝石のようだ、という表現も当たらない。そんな無機質な光ではない。それは意思を持って生きているものにしか宿らない色だった。

「お前は、」

以下略



413: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:59:51.03 ID:rMwp2u+So

男は立ち上がって部屋を出たかと思うと、コンビニのビニール袋と厚手の毛布を持って戻ってきた。コンビニ袋からミネラルウォーターのボトルだけを取り出して横になったままの彼女の頭の脇に置いたところを見ると、飯食うのはしんどいかもしれないが、水分くらい取れ、と言いたいのだろう。厚手の毛布もそれはもう丁寧に彼女の体に被せてやったのだが、らしくないことをしている自覚はあったらしく、難しい表情をしたまま口を開こうともしなかった。

「ありがと、」

以下略



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