過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2015/06/15(月) 21:46:45.16 ID:2Cc/Ortxo
「人間なンてそンなもンだ」
打ち止めは彼女が吐き捨てるように言ったのを思い出す。
「日本人的な表現で言やァ縁、っつーのかね。」
「えにし?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり。」
打ち止めが首を傾げると、彼女は手元にあった紙に几帳面で神経質そうな右肩上がりの字で「縁」という字を書いてみせた。学習装置で様々な知識を授けられている妹達だが、一方でたかだか実験動物である彼女らには必要ないと判断されたのか、案外一般常識に分類されるようなことでも彼女らの知識には組み込まれていないことがある。だからこの見覚えのない漢字一文字が意味することは、ただのクローンには必要のない酷く人間臭い知識なのだろうと打ち止めは判断した。そして打ち止めはそういう「実験動物には必要のない」知識を授けようとしてくれる一方通行の意図を理解しており、それを受け止めたいと思っていた。
「お前に分かりやすく説明すンにはどうすりゃいいかねェ。」
ぐしゃ、と特徴的な白髪を乱雑に乱すのは彼女の癖だ。怒っているときにも恥ずかしがっているときにも面倒くさいと思っているときにもこの癖を披露するので、その時々でこの仕草の意味を探るのはなかなか骨が折れるのだが、今回の場合、彼女自身も得意ではない分野の話だから何と言っていいか分からず悩んでいるのだろう。やや間があって、それから彼女が口にしたのは、一見すると全く関係がないようにも思える喩え話だった。
「例えばお前の電撃にしたって結果として齎す現象は色々あンだろ。発光、発熱、磁気やら何やら。お前は単に電撃を放ったつもりでも、結果として生じるベクトルは種類も向きも大きさも様々だ。ここまでは分かるか?」
打ち止めが頷く。ベクトルは専門外だが、長いこと彼女の演算を補助している関係から全く知らぬ世界でもない。エネルギー保存の法則、この街では下手をすれば小学生どころか幼稚園児ですら理解している場合もあるような基礎的な物理の概念である。打ち止めが放った電撃というエネルギーは一瞬にして消えてしまうように見えるが、何かしら他の形で維持され、また何か別のものを生み出すのだ。
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