過去ログ - 【モバマス】「幸子、俺はお前のプロデューサーじゃなくなる」
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以下、新鯖からお送りいたします
[saga]
2013/09/04(水) 22:04:48.41 ID:DVgSD76f0
そうして、時間はみるみるうちに過ぎていき。
ついに開演の時間。
衣装は万全。ダンスも頭に叩き込んだ。喉の調子も悪くない。
トークのネタも、渾身のものを用意してきた。
控え室の扉が開いて、スタッフさんが顔を出す。
「皆さん、そろそろ準備をお願いします!」
全員が返事をして、立ち上がる。
ぞろぞろと列を成して出て行く……その途中。
息を切らせたプロデューサーが、こちらに向かって駆けてくる。
思いきり両肩をつかまれて、驚きに私は目を見開いた。
「な、何ですか。もう、出番なんですけど……」
熱い激励でもくれるのかなって、少しだけ期待する。
だけど。
「乃々、お前の祖母が倒れた」
「……え?」
「今、お母さんから事務所に連絡が入った。容態が急変したそうだ」
変に緊張しちゃうから、ここに来てから携帯の電源は切っていた。
ですけど……そんな。
「……うそ」
「残念だが、本当のことだ」
「……ばっちゃ」
誰より私を可愛がってくれたおばあちゃん。
優しくて……私が大好きなおばあちゃん。
「私、アイドル、頑張るって、決めたんです……。行かなきゃ……」
私はプロデューサーに背を向け、先を行く子たちの後に続く。
「乃々!」
たとえ、お客さんたちが私を見なくても。
お客さんを放り出して逃げるなんて……絶対にだめだ。
不意に、幸子ちゃんに肩をつかまれ、強引に振り向かされる。
私の表情を見て、彼女が辛そうに顔を歪ませた。
「なんて、顔……ッ、してるんですか!」
「行かなきゃ……幸子ちゃん」
「後はボクらに任せて、乃々は早く行ってあげてください! 一生、後悔しますよ!」
「ここで逃げても……後悔する」
「それは逃げじゃない! 分からない人ですね、馬鹿ですか貴方は!」
幸子ちゃんを無視して、私は広場に向かって駆け出す。
歯を食い縛り、何度もまばたきをして。
既に広場は満員で、あちこちから歓声が上がっていた。
たくさんの人たちの視線に、私は手を振り、笑顔で応える。
そして始まる。
私の初ステージだ。
大勢の中のひとりだとしても、私はアイドルだ。
私の姿を見て、だれかひとりでも笑ってくれるなら。
全力を出す以外に、選択肢なんてない。
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