過去ログ - 【モバマス】「幸子、俺はお前のプロデューサーじゃなくなる」
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26:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:05:29.60 ID:DVgSD76f0
 喉がかれるほどの大声で、一曲を歌いきる。
 体が千切れ飛びそうなほどの動きで、ダンスを踊りきる。
 客席からは、後に尾を引く、歓声と、拍手。
 ……終わった。
 最後に、全員が順々に、ほんの数秒ずつ、マイクでコメントを残していく。
 マイクが手渡されていく中、私の頭の中では、おばあちゃんのことがぐるぐるぐる。
 ぽん、といきなりマイクが左隣から渡された。
 元々考えていたネタなんて、全て吹っ飛んでしまっていた。
 沈黙。
 客席がざわめき始める。
 右隣の幸子ちゃんが、危うい空気を変えようと、私からマイクを奪おうとする。
 私はそれを制する。前を向く。
「……家族のために、アイドルになろうと思いました。私がアイドルをすることで、みんなが笑顔になることが、嬉しくて……」
 涙がマイクに滴り落ちる。
 みっともなく鼻をすすり上げる。
「田舎のばっちゃが、倒れました。私を応援してくれる、大切な家族……笑顔になってほしい人のひとりです。それなのに……ばっちゃが苦しんでるのに……私は……」
 ぐしゅっと声が潰れる。
「私の姿を見て、ここに来てくれた皆さんの誰かが、笑顔になってくれたらいいってずっと思ってました。その気持ちは嘘じゃありません。だけど……最初の気持ちだけは……家族を笑顔にしたいっていう思いだけは、裏切りたく……ないんです。だから……ごめんなさい、私はばっちゃのところに、行きます。私はまだ、アイドルでいないといけないのに……本当に、ごめんなさい」
 広場は静まり返っていた。
 私は幸子ちゃんにマイクを手渡して。
 振り返らずに、走り出した。


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