1:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:30:37.50 ID:t5UYVlVE0
モバマスSS、地の文あり、元ネタあり
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:32:41.52 ID:t5UYVlVE0
「釣れませんね……」
私はぼんやりと、ただぼんやりと竿を垂らしていました。
3:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:34:21.45 ID:t5UYVlVE0
ぴくりとも動かない釣り竿を軽く握っていると、ぼんやりと今までのことが思い浮かびます。
何も変わることのない日常を過ごしてきた私。
4:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:36:32.41 ID:t5UYVlVE0
ですが……ある時、ふと感じてしまうことがあります。
もしも私がアイドルではなかったら。
5:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:38:14.41 ID:t5UYVlVE0
イメージすることのできないもう一つの可能性は、やはり私の心の隅からどいてはくれません。
これでよかったのか、という不思議な気持ちは、頭のなかでぐるぐると渦を巻いています。
6:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:39:40.34 ID:t5UYVlVE0
そうしてこの釣り場でのんびりと構えているわけですが……。
なんとなく、釣れない理由もわかってきた気がしました。
7:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:43:21.56 ID:t5UYVlVE0
「あれ……?」
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2013/09/15(日) 00:44:57.77 ID:t5UYVlVE0
「……針、取り替えなきゃ」
と、折れてしまった針を見つめて。
9:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:46:07.75 ID:t5UYVlVE0
じっと、このままで待ってみます。
折れた針の先は尖っていますが、勿論かえしはありません。
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2013/09/15(日) 00:46:59.76 ID:t5UYVlVE0
先程からずっと考えていたこと……あったかもしれない、もうひとつの可能性。
私は、地元の高校に入学する少し前に、彼と出会って。
11:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:49:29.15 ID:t5UYVlVE0
そうして今年の春から、東京で暮らすことになりました。
東京なんて、一度も来たことはありません。
12:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:51:38.47 ID:t5UYVlVE0
今の私。
もし、私がアイドルをやめてしまったら?
13:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:54:28.20 ID:t5UYVlVE0
「ふふっ。肇さん、釣れていますか――」
あら。
14:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:55:38.13 ID:t5UYVlVE0
彼女の後をついて、山の奥へと進んでゆきます。
「ここなど、いかがでしょうか」
15:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:57:55.80 ID:t5UYVlVE0
「気を抜いてはいけませんよ。全身全霊を込めて、集中するのです」
そうすれば、魚どころか竜さえ釣れますよ、と彼女は付け加えました。
16:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 00:59:04.77 ID:t5UYVlVE0
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2013/09/15(日) 01:05:29.04 ID:t5UYVlVE0
「……あら?」
ふと気づけば、そこはあの、岡山の山奥……ではなく。
18:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 01:12:01.51 ID:t5UYVlVE0
「――調子はどうだ、肇」
今度は少女ではなく、彼が後ろに立っていました。
19:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 01:15:21.99 ID:t5UYVlVE0
「悩みがあったみたいだったが……もう、大丈夫なのか?」
ええ、ご覧のとおり。
20:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 01:17:00.32 ID:t5UYVlVE0
「肇が元気になってくれて、よかった」
21:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/15(日) 01:19:23.66 ID:t5UYVlVE0
「肇、その針は――」
食い入るように私の釣り針を見つめていましたが、
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