15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 21:21:11.09 ID:hDad05Pp0
それからおれはもっと頻繁に村に行くようになった。
飼い狐といっても良かったかもしれない、あの頃のおれは。
どのみち同種の仲間がいるわけでもなかったおれにすれば悪くなかった。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 21:27:17.41 ID:hDad05Pp0
次の冬、激しい雪と風が吹きすさんだあの日、狼はついに動いた。
やつらの計画遂行は、すなわち俺と人間との奇妙な蜜月の終わりを意味した。
激しく吹き付ける雪が狼の黒い体躯を白く覆い、
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 21:50:43.73 ID:hDad05Pp0
やつらのやり方は非常に単純だったがゆえに効果的だった。
まず一匹の狼がトリ小屋を襲った。
雪風除けに立てかけてあった板をどかし、網を食い破るなどやつらにとっては朝飯前。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 21:57:04.23 ID:hDad05Pp0
村に着いたときには、狩人は赤い雪に散らばってピクリとも動かなかった。
その狩人は、いつか狼からおれを助けてくれた、あの人間。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 21:59:07.48 ID:hDad05Pp0
食い破られた小屋から逃げ惑うトリ達。
血に染まった雪に横たわる狩人。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 22:15:45.88 ID:hDad05Pp0
おれはまんまと嵌められたのだ、狼に。
あっぱれ過ぎて言葉もない。
ただおれが甘ったれでマヌケだっただけだ。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 22:42:21.19 ID:hDad05Pp0
おれは本当の意味で"孤独"となった。
ガキなりに、もう今までのように村に行けないことくらいわかっていた。
人間たちは何度かおれを狩りにきた。
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 23:10:27.90 ID:hDad05Pp0
あれからどれくらいたっただろうか。
20回以上の春と冬を越えてきたように思う。
おれはあいかわらずしろいまま、いまでは普通の狼くらいの体躯にまでなった。
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 23:31:40.76 ID:hDad05Pp0
ふわふわした金色の毛並に、透き通る緑の目をした一匹の猫。
暖かな陽だまりでうとうとしていたおれの前に礼儀正しく座り、話しかけてきた。
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 23:47:56.20 ID:hDad05Pp0
おれから見ればまだほんの子供だった。
人間でいえば10歳くらいだろうか。
村ではいまだに俺は憎むべき裏切り者のはずだったし、
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/28(土) 23:48:48.31 ID:hDad05Pp0
もう寝ます・・・・
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