3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 00:39:22.06 ID:F856af2G0
 さっきからずっと、耳鳴りのような遠い砂嵐の音が聞こえている。彼は時折、どうして自分がここを歩いているのか思い出せない事があった。それでも、体は何処かへと向かい、規則的な繰り返しを止めようとしない。それは、何か強い力が彼を引っ立てているかのようだった。 
 自分は何処へと向かっているのか、それは彼にも分からない。 
 彼、織斑一夏は、この果てしなく続く砂漠をたった一人で、もう何時間も歩き続けていた。さっきから聞こえていた砂嵐の音が、徐々に、何かもっと別の、高いトーンの音に変わっていくように感じる。それとも、やはりただの耳鳴りか、幻聴だったのかもしれない 。だがそれは、何か人の声、女性の声ようにすら感じられるようになってきた。 
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 00:40:32.46 ID:F856af2G0
 一夏はふと、その声に呼ばれたかのように、ゆっくりと振り向く。そして、そこには信じられないような風景が広がっていた。数え切れないほどの、光り輝くチョウが空を埋め尽くし、絡み合うように舞っている。もちろん、この砂漠にチョウなどいるはずがない。だが不思議な事に、一夏はこれを幻覚だとは感じなかった。むしろ、今まで歩いてきたこの砂漠よりも、このチョウの方がずっと現実のように感じられ、それを見ている自分の意識も、ずっと覚醒しているようだった。そして、何か懐かしいような、安らぐような、奇妙な感覚に囚われた。 
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagsaga]
2013/10/12(土) 00:41:35.74 ID:Xu+K5Qhn0
 一夏改編の人? 
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 00:44:06.43 ID:F856af2G0
 このチョウたちは、自分を迎えに来たのだ。さっきの声は、自分を呼んでいたのだ 。そんな風に感じられた。もはや、自分がここにいる理由は全く思い出せなかった。このチョウたちは、自分を何処へ連れてゆくんだろう。天国なのか、地獄なのか、あるいはもっと別の世界か。 
  
 「一夏ーッ!!」 
  
 彼の名を呼ぶ声がして、目の前にISを纏った女が現れ、辺りを強烈な光が照らした。だが、一夏はそれを眩しいと感じる事もなく、現れた女にも何の反応もみせず、ただ其処で立ち尽くしていた。 
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 00:46:04.16 ID:F856af2G0
  
  
  
  
  Dear Mr.Fantasy 
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 00:51:15.62 ID:F856af2G0
 山田「あ、あのぉ……織斑くん………?」  
  
 山田「順番が『い』のところなので……自己紹介を………」  
  
 一夏「…………………………………」スクッ  
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 00:57:05.33 ID:F856af2G0
 山田「織斑先生、もう会議は終わられたんですか?」  
  
 千冬「ああ、山田先生」カッカッカッ  
  
  
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 01:00:39.42 ID:F856af2G0
 「あの人よ、世界で唯一男でISを使える男性って」  
 「なんで起動させたんだっけ?」  
 「そりゃあ入学式の時でしょうが」  
 「ニュースなってたっけ?」  
 「あれ?そんなになってなかったね」 
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 01:04:46.54 ID:F856af2G0
  
 「待て、一夏!」  
  
  
 一夏「…………………………」 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 01:07:42.89 ID:F856af2G0
  
   1 
  
 箒は、一夏の背中を追いかける事が出来なかった。向こうへと歩いていく一夏が、自分の知っている人物ではなのか、そう疑問に思えてならなかったからだ。まさかあれが、一夏なわけがない、以前の彼女ならそう思えたかもしれなかった。だが、そう思えないぐらいに彼女と一夏の離れた時間は長過ぎた。 
 けれど、一つだけ確かな事があった。彼の眼には、何もなかった。それは今まで見たこともないような眼で、そこからはいかなる感情も読み取る事が出来なかった。それは、あったはずの自分の居場所など、とっくに消え失せてしまったようだった。それを彼女が悟るのには、時間が必要だった。 
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 01:10:59.22 ID:F856af2G0
  
   2 
  
 山田「では、ここまでで質問のある人はいますかー?」  
  
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