24: ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/10/14(月) 20:39:08.49 ID:ZqZKzP3U0
見知らぬ路地を抜け、サクラは一戸建てへと吸い込まれていった。
どのタイミングでも、顔さえ確認できればそれでいい。
それまでずっと張り込むつもりでいたが、その時はあっさりと訪れた。
結論から言うと、あの日の人物はやはりサクラの父親だった。
年をとってはいたものの、面影は失われていない。
兄弟という可能性もなくはないが、最早俺はそんな事を言える精神状態ではなくなっていた。
このときの最大の失敗は、顔を見たらどうなるか考えていなかった事である。
一目見た瞬間、俺は憎しみではなく恐怖に囚われてしまった。
あの日と同じように、手足が小刻みに震え体温が急激に失われていく。
恨みや殺意など抱く余裕はなく、ガクガクと揺れる体を支えきれなくなりその場で膝をついた。
浅く温度の無い呼吸を繰り返し、早鐘を打つ心臓を押さえたまま体の自由が効かなくなり倒れこんだ。
固い地面の感触を布越しに頬で感じ、土の匂いが鼻につく。
強い睡魔が追い討ちをかけるように、俺を襲った。
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