279:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/23(土) 06:43:04.02 ID:Yq2Noa/q0
僕らは久しぶりに外の世界へ行った。 これもあの人のおかげなのかなと思うと笑えてくるんだ でも、今、大変な事態なんだと 今、気付いたんだから。 「諦めるなってのはこれのことか―?!」 月下 香介が倒れた葵 輝丹をおんぶして帰ろうと 走っていたが渋滞に巻き込まれていた。 其の隣で相野 輝己が「あはは?vv」と笑う。 其処で、柱にぶつかってしまい、痛がる中居 螢太と 其の横であきれて見ている木元 拓に会った。 だが、話し掛ける余裕もなく、そのまま、走ってしまった。 当然、拓は話し掛けようとしたが走られたため呆然と立ち尽くしていた。 「何で、あいつら、そんなに急いでいるんだ…」 「馬鹿、中居。香介、輝丹をおんぶして走ってったぞ。もしかしたら、輝丹に何かあったんじゃないのか。」 「えっ、何?!それを早く言えよ!おーい、待て香介―!」 「…目的が次々と変わるな…」 香介と輝己は「ごめん!」と謝りながら走っていた。 「輝己、輝丹どうだ?!」 「未だ目覚めてないよー、このままだと危険な状態かも…」 「畜生、どけぇ!」
静木 青と甘野 大和を見つけ、輝己が二人の首を締め付けながら走っていく。
香介が、「連れてけ」と言ったからだ。
「えっ、輝己、どうしたの?苦しいって!」 「いてえぇっ;何の真似だー!ギブギブ!」 「兎に角、早く帰ろー!こーにが危ないー」 藍瀬 輝々と葵 一成は自動自販機の前に立っていた。 喉が渇いたので一成のおごりで飲み物を購入してくれたからだ。 「貴方は死ぬ事に抵抗しないのですか?」 一成がそう訊いた。 久しぶりに飲み物を味わう輝々はこう答えた。 「そりゃ、抵抗あるよ。でも輝丹が生きていればそれでも良いんだ」 一成はそんな風に答える輝々を見てこう思った。 この子のおかげで、輝丹は此処まで成長したと思えると申し訳ないと思う。
途端、香介達が走ってくのが見えた。 其の中で輝丹が苦しそうに眠っているのが輝々の目に映った。「輝丹…!!」 輝々が駆け出し、香介達の中に混じれた。 一成は只、見守る事しか出来なかった。 「青歌。あれ、月下達じゃないか?」
淡本 綾唯が海原 青歌にそう訊いた。
二人は、合唱コンクールに向けて歌を練習していたのだった。輝丹が香介におんぶされてるのを見て青歌は驚く。 「え、あれ…輝丹?ちょっと、あやゆ?、来い!」 「はっ、ほっとけば良いだろ!…もう!」 「和生の火葬、どうするのー?」 「忘れてた!拓、準備しろっ」
「分かってるよ、ほら、お前等来い!」
色んな声が飛び舞う中で、香介はひたすらに走っていた。 其処で、歌が聞こえた。 大地を素早く駆け回り 風が吹き 身体が動き走って走って走りまくれ解き放て 無限の緑へ何かが僕を支配してるんだ心が僕を痛めつけるんだけれども何も今は無い今こそ扉の鍵を開けて風は其処へ 水までも浴びせもっと君が輝けるように空は青く 地面は滑らかに解き放て 無限の光へ
空が傷ついて泣いているんだ
その下の人々が泣いてるんだ
こんな残酷の世界から
逃げ出すチャンスを頂戴?
炎は熱く 氷が溶ける
水が炎を消すように
僕が君を助けるから
解き放て 無限の闇へ
優しくて悲しい歌声に香介は吸い取られそうになった。
途端、何かが動いた。
輝丹が、目を覚ました。
「輝丹?」
香介が声をかけた。
すると、輝丹が微かだがこう云った。
「…こ……じ…」
「こーじ?」
輝己が続いて言う。
呼ばれた輝々は輝丹の近くに走っていた。
「輝丹?どうした?」
「…俺…、結局…お前に…助けを求めなか…た…結局…俺、素直、じゃ、ない…」
「もう良い、喋るな!いつでも助けを求めて良いから!だから、今は、生きてくれ!」
輝丹の声が聞き取れない輝々は涙を流した。
だが、輝丹はゆっくりと首を横に振った。
「今なら…言える…俺…本当は…一人は、怖かった…でも…強がりを…した…だから…」
ゆっくりとそう言うと、輝丹は片手を輝々に差し出した。
「…色々…すまない…」
あの時、本当は、輝々が言ってくれた言葉。
凄く、嬉しかったんだ。
でも、俺はわからなかったから…
何も、喜びを言えなかった。
結局、最後まで、素直じゃなかったんだよ。
輝丹の被っていた帽子が落ち、ぱたっと地面に落ちた。
それを青が拾った。
だが、拾った途端、輝丹は目を閉じた。
誰もが、驚いた。
そして、誰もが涙を流した。
皆、叫んだ。
「助けて!!」
僕達は、最後まで頑張ったつもりだけど
悲しすぎて、何もいえなかったんだ。
僕達は、きっとどこかで、誰かに助けて欲しかった。
自力で頑張るのは、もう限界だったから。
そして、輝々達が居た場所に着いた。
ばたばたと足音が五月蝿く感じた。
そこで、一成が手術室に運ぶように指示した。
一成の後ろに何人か医者が居た。
輝丹は手術室に運ばれた。
輝己は「こーすけぇ!」と泣きながら香介にすがりついた。
香介も涙を流しながら輝己のされるがままになった。
大和は立ったまま泣いていた。
青は一応、座ったがそれでも耐え切れず
「もう、頑張るのは嫌だ!」と顔を覆っていた。
拓と螢太は手術室の隅っこに立って俯いていた。
其処で、輝々が手術室の前へ立って
両手を床につけた。
涙を流しながら言った。
「…輝丹を…助けて…」
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