280:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/23(土) 06:43:38.06 ID:Yq2Noa/q0
僕達は数日経って、とうとう立ち直った。
みんなのためにも生きようと思ったからだ。
伝えたい事があって、僕等は立っている。
悲しいのを我慢しながら。
「何処行くんだよータクー。」
中居 螢太は体育館に入ってきたタクを探していた。
その隣に木元 拓がいる。
「やっぱ戻ろうぜ?どうせ戻ってくるし」
「こら、拓!無責任なこというな!」
「へーへー…」
すると、二ャ―と聞こえた。
その声が聞こえたほうへと螢太と拓は歩く。
其処に、タクは居た。
その隣には葵 輝丹が箱の中で眠っていた。
「…タク?」
螢太は声をかける。
だが、タクは反応せずに輝丹に近づいた。
「!!こ、こらタク!やめ…」
「中居、させとけよ」
「だ、だって…」
「ほら。」
拓は指差した。
その先にはタクが輝丹を必死に揺さぶっていた。
「…にゃぁあ…」
タクの声が聞こえる。
その声が螢太と拓にとっては、何故か、切ないように聞こえた。
「にゃぁあ――…」
タクは輝丹の上に乗って、少し動いた。
だが、直ぐに離れた。
もう、居ない事を知ったのかタクは悲しそうな目で輝丹を見つめていた。
「…タ…ク…?」
螢太はもう1度呼んだ。
タクは振り向き、螢太のほうへと歩いた。
そして、足に擦り寄ってきた。
「にゃー」
「…輝丹の事覚えてんのかな、タクって…」
螢太がタクを抱きしめながらそう言う。
そして、拓はタクを見、ゆっくりとこう言った。
「飼い主のこと、絶対忘れないだろう。輝丹の事もそうじゃん?動物も人間と同じぐらい記憶力があるんだよ」
その言葉に螢太は微笑んだ。
「…そうだな。拓、良い事言うね。」
「そーか?輝丹には負けるけど?」
そう言い、二人はお互い笑いあった。
翌日、輝丹の正式な葬式が開かれた。
多分、葵 神海が色々やってくれたのだろう。
葵 一成は警察に渡され、解剖作業が行われた。
葬式には、海原 青歌や淡本 綾唯。そしてAisuin-syonや
クラスメート全員や、先輩、後輩達、学園の殆どが参加していた。
藍瀬 輝々、静木 青、甘野 大和、月下 香介、相野 輝己
拓、螢太は、参加者の中心席に座っていた。
沢山の綺麗な花の中心に置いてある写真の中にいる
輝丹は泣いている人達をいつもの無表情で見ているだけだった。
「…輝丹、こんな沢山の人に来て貰えるなんて凄いね」
「そうだな、影では大きな存在になってんじゃん」
青が感心し、それに大和が答えた。
「輝丹の存在、みんなの心に大きく刻まれてるね」
「うん。凄いよな」
こうして、僕等と輝丹との別れは
あっという間に終ってしまった。
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