26: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:55:17.62 ID:vhF1ZYOxo
――
凛が急ぎ足で報告を終わらせ、エントランスへ出ると、加蓮はポートに挿した携帯通信端末で音楽を聴いて待っていた。
27: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:55:44.42 ID:vhF1ZYOxo
「ちょっとー、凛。ちひろさんに怒られるよ。アタシも人のこと云えないけどさ」
「加蓮と一緒に退社なんて久しぶりなんだから、多少急いだってちひろさんはそれくらい大目に見てくれるよ」
あまり悪びれない様子の凛に、つられて苦笑した加蓮が「どこか食べに行かない?」と訊いてくる。
28: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:56:17.68 ID:vhF1ZYOxo
・・・・・・
西新宿、旧青梅街道に面してひっそりと佇むビル。
29: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:57:16.53 ID:vhF1ZYOxo
カウンターに通され、メニューを開くと様々な種類の酒が載っている。
かなり種類は豊富で、しかも通好みのラインナップだ。
「まずは軽くビール?」
30: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:57:47.46 ID:vhF1ZYOxo
「凛はよくそんな苦いの飲めるよね。アタシはホフブロイのミュンヘナーヴァイスで」
加蓮は凛に不思議そうな顔を向けつつ、マスターにオーダーした。こちらは南ドイツで最も有名な、甘めの小麦ビール。
凛は片目を瞑って答える。
31: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:58:27.58 ID:vhF1ZYOxo
――
「……でさー、紙で指を切ったときに限って握手会の仕事でさ、困っちゃったよ」
32: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:58:56.54 ID:vhF1ZYOxo
「まあ脳に直結してるんだし、多少は仕方ないかもね」
「科学は万能じゃないね、ふぅ」
加蓮は軽く溜息をついてからぐいっと呷り、ホフブロイを空にした。そのままマスターを向く。
33: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/10/31(木) 23:59:26.46 ID:vhF1ZYOxo
「ええ、チリは侮れませんよ。安い、美味しい、ばらつきが少ないの三拍子です。
あとは鉄板で云えばカリフォルニアのスケアクロウとアロウホですね。スケアクロウなら、丁度ウチに今、2043年のビンテージがあります」
「スケアクロウのビンテージ!? 凄い! それでお願いします!」
34: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/01(金) 00:00:49.32 ID:ssxJ1PKro
フレンスブルガーを飲み終えた凛もおすすめを訊く。
「私も少し冒険したいかな。薫りを楽しめるものってあります?」
「芳醇なものなら、林檎のブランデー、カルバドスとかどうでしょう。
35: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/01(金) 00:01:23.41 ID:ssxJ1PKro
マスターはにこやかな笑みを浮かべ、戸棚からブランデーグラスを取り出す。
ほんの少しだけ注ぎ入れ、廻してグラスの肌を湿らせたと思ったら、おもむろにジッポーで火を着けた。
目の前でフランベを実演され、ボウッと燃える音に、凛は驚きのあまり上体を仰け反らす。
36: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/01(金) 00:01:49.85 ID:ssxJ1PKro
「あぁ、すごい……いい薫り……鼻の奥へふわっと抜けて、美味しい……」
感激の溜息をつく。
「アルコールは40度ありますが、全然刺々しくないでしょう?」
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