過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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967:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:30:47.20 ID:BVhJwVsq0
どくんっ、と紗羅の心臓が大きく脈打った。
麗の真剣な表情に、胸騒ぎがした。
その胸騒ぎの正体が何なのかは、わからないけれど。

「なあ、麗。
 武器くらいは確認しといた方が良くないか?」

健太の声に、紗羅は顔を上げた。
どうやら健太は何も感じていないようだ――紗羅の中に渦巻いた不安も、ただの気のせいであれば良いのだけれど。

「健ちゃん…みんなを疑うの…?」

もみじが悲痛な面持ちで健太を見つめた。
健太は眉間に皺を寄せた。

「疑いたくない…けど正直怖い…ってのが俺の意見。
 こんなモンに乗りそうなヤツとかいるはずないって思いたい…
 けど、あのアキヒロってヤツの言葉が頭から離れない。
 “殺らなきゃ殺られる”…って。
 だから万が一の時には身を護る準備は必要だと思うんだ」

「…まあ、健太の言うことが正しいな。
 備えあれば憂いなし、だ」

麗は頷くとデイパックのジッパーを引き、中に手を突っ込んだ。
暫くデイパックの中を弄った後、何かを見つけたらしく、それを高々と掲げた。
麗は自信たっぷりに掲げてから自らの手にスプレー缶が握られているのを目で確認し、眉間に皺を寄せた。

「…何だ?」

「いや、『何だ?』じゃねーよ、アホか。
 確認してから自信満々に披露しろよテメェ」

呆れた表情を浮かべた健太が腰を浮かせ、麗の手から何かをもぎ取った。
頼りない電球の灯りを頼りに、健太はスプレー缶に書かれた文字を読んだ。

「さい…るい……ああ、催涙スプレーだってよ」

麗に支給されていたのは、痴漢撃退にも使えそうな催涙スプレーだった。
自信満々で掲げるような代物ではない気がするが、誰かに攻撃する意思のない麗にとっては決して外れの武器ではないだろう。

「ふーん…ま、悪くはないな。
 お前らは?」

「…あっれ、ねえねえ麗さまー。
 もみじの武器って…これかなぁ?」

もみじの両手に乗せられているのは、紙製だが高級感のある箱。
怪訝な表情を浮かべた麗がその箱を取り蓋を開け――舌打ちをした。

「政府の連中、ふざけてんのか、あぁん?
 これで戦えって、笑えねぇよ」

「まあ…投げたら痛いだろうけど」

箱に納められていたのは、計12個のゴルフボールだった。
ゴルフボールはスポーツで使用する球であって、武器ではない。
当たり外れがあるとは聞いていたが、これは無しだろう。

催涙スプレーにゴルフボール、幸先の悪い武器の出に辟易しつつ、紗羅は自分のデイパックを引き寄せて開けると、中に手を突っ込んだ。
すぐに、それに手が当たった。
片手で持ち上げることはできず、両手で掬うように持ち上げた。
木製の箱で上には十字マークが描かれており、蓋を開けるとアルコール消毒液や包帯や絆創膏などの救急道具が詰め込まれていた――救急箱だ。
武器ではないが、これはある意味かなりの当たり武器だ(武器ではないのに“当たり武器”と呼ぶのはおかしいことだが今はその矛盾は置いておこう)。

「催涙スプレーにゴルフボールに救急箱か…健太、お前は?」

麗をはじめとして6つの瞳が見つめた先で、健太はデイパックに手を突っこんだまま硬直していた。

「健太…?」

紗羅が声を掛けると、健太は錆びたブリキ人形のようにぎこちなく首を回して更に視線を向け、ゆっくりと手を鞄から出した。
その手に握られていた物に、全員が息を呑んだ。
健太の決して大きくはないがやや骨ばった日に焼けた手に握られているのは全長20cm程の黒い物体――自動拳銃ワルサーP99だった。

「は…ははっ…マジかよ…」

健太が引きつった笑みを浮かべ、震える手でワルサーを皆に見せるように前に出した。
紗羅ともみじは反射的に仰け反り少しでもワルサーから距離を取ろうとしたが、麗は真剣な面持ちでワルサーをじっと見つめ、健太を見据えた。


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