過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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968:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:31:13.87 ID:BVhJwVsq0
紗羅ともみじは反射的に仰け反り少しでもワルサーから距離を取ろうとしたが、麗は真剣な面持ちでワルサーをじっと見つめ、健太を見据えた。

「健太…わかってんな?
 それは、人の命を一瞬で奪うかもしれない代物だぞ。
 持つ時も、万が一撃つ時になっても、それを絶対忘れるなよ。
 田中もそれで…死んだんだ」

アキヒロに射殺された顕昌の名前が出た瞬間、健太はびくっと身体を大きく震わせ、手からワルサーを落としそうになった。
顕昌の撃たれた瞬間の光景がまたもフラッシュバックし、紗羅はうっと呻いた。
健太の持つそれは、他のクラスメイトをも顕昌と同じ状態に変えてしまうかもしれない凶器――そう考えると、決して大きくない黒いそれが、とても邪悪な物に見える。

「はは…っ…これ、俺が持つのかよ…こんな恐ろしい物…――ッ!!」

乾いた笑いを交えながら健太はワルサーから麗へと視線を向け――目を見開いた。

「麗、後ろッ!!」

健太の声に、麗が振り返る。
健太が声を上げる前に異常を察知した紗羅は、麗の腕を自分の方へ引っ張った。
麗が体勢を崩す。
そのすぐ脇を何か銀色の物が上から下へと煌き、麗が腰掛けていたスポーツバッグに吸い込まれた。

「何、誰、何なのッ!?」

訳がわからず叫ぶ紗羅の首に、何かが触れた。
温かみを感じる布――人の腕だ。
首を圧迫され、紗羅はそれから逃れようと必死にもがく。
もがく紗羅の頬に、今度は冷たい何かが触れた。
それが頬を撫でると、ピリッとした痛みが電流のように走る。

「紗羅ちゃん、紗羅ちゃん…ッ!!」

涙声でもみじが紗羅を呼ぶ。

まさか、これ…斬られたのッ!?
うそ、やばい、怖い、これまずいよ、あたし、あたし…ッ!!

「紗羅を離せッ!!」

麗が紗羅の背後にいる何者かに向けて手を伸ばした。
紗羅の首を絞めつけていた腕の力が弱まる。
紗羅はその腕を掴むと服で隠れていない手の甲を探り当て、思いっきり噛み付いた。
背中で呻き声を聞きながら、紗羅は束縛から逃れた。

ばんっ

耳を劈くような轟音が鳴り響いた。
健太が右手を掲げているのを見て、それが銃声だと知った。
健太が空に向けて発砲したのだ。

「麗馬鹿かテメェ、無茶しないってさっき言ったばかりだろうがッ!!」

そうだ、麗は紗羅を助けようと襲撃者に掴み掛ろうとした。
しかし、メンバー全員の命を背負う麗は、本来そのような行動に出るべきではない。
麗に万一のことがあれば、紗羅たちの首輪は爆発するのだ。
麗も十分に承知していたはずなのだが勝手に体が動いてしまったのだろう、「ああ」と思い出したかのような声を洩らした。


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