過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:33:21.10 ID:BVhJwVsq0
周りから一目置かれたが、それは周りから見えない壁を作られていたと言うこともでき、コミュニケーション能力が低い利央はこの当時から友人がほとんどいなかった。
運動もできたので体育祭では活躍したけれど、周りからは「凄い」と声を掛けられることはあってもすぐ離れていくので、いつも独りのような気がしていた。

麗のことはもちろん知っていた。
学年の誰よりも目立っており、人だかりの中心に常に麗はいた。
いつでも自信に満ちていて、周りに騒がれて――別世界の人間だと思っていた。

その麗が、自分のことをライバルだと言って手を握ってきた。
利央を囲う壁をぶち破るようなテンションで近付き、友達になりたいと言ってくれた。
それは、利央にとって初めての経験だった。
『ライバルはいつも少し離れた所にいて、バチッと視線をかわすもんらしいぞ!』という麗の付け焼刃の漫画知識に従ったため普段からつるむようなことはなかったけれど、麗は何かあるごとに視線を合わしてはにっと笑みを浮かべてきた。
それは2人の暗号のようで、とても嬉しかった。



教室では部活仲間の榊原賢吾(男子七番)や、大人しい松栄錬(男子九番)と一緒におり、会話は少ないが2人共大切な友人だと思っている。
それとは別のベクトルで大切な友人である麗。
あの麗が早々に命を落とす姿など想像できないしもちろんしたくもないが、もしかしたらあの銃声によって怪我をしたかもしれない――心配でならなかった。

クラスメイト同士の戦いなんて、間違っている。
これは麗と同意見だ。
麗が戦いを放棄するのなら、自分もそれに倣いたい。
たとえあの銃声によって周りのクラスメイトたちが疑心暗鬼に陥っていたとしても、利央は麗の言葉が揺らがないことを信じる。
慣れ合うことはなくとも相手を認め強さを信じる――好敵手とはそういうものだ。

「お、10分経ったなぁ、じゃあ次7班!
 えー、男子十一番・田中顕昌君!…はアッキーが殺してもたから飛ばして…と。
 男子十九番・芳野利央君!
 女子八番・阪本遼子さん!
 女子十三番・蓮井未久さん!
 Are you ready?」

名前を呼ばれ、利央はライドに視線を向け、更に左に顔を向けて同じく名前を呼ばれた遼子と未久に視線を向けた。
先に動いたのは、身長は145cmと控えめだけれども強気な性格をしている遼子で、舌打ちで明らかに不機嫌であることを表現しながら乱暴な音を立てて立ち上がると、持参していた大きめのボストンバッグを引っ掴んだ。
左後方に座る小石川葉瑠(女子五番)や後ろの横山圭(男子十八番)といった親しくしている友人たちには見向きもせず、大きな足音を立てて前に出て来た。
遼子が自分の脇を通るのを見てから、未久もブラウンに染められたセミロングヘアーを揺らしながら立ち上がった。
穏やかな未久は遼子とは対照的にとても静かで、いつも浮かべている微笑はさすがに影を顰めており、それどころか感情を何一つ持っていないような無表情だった。数回言葉を交わしたことはあるがあまり知らない2人とのチーム(と言うものの、クラスの女子で親しくしている人は一人もいないので、話したことがあるだけマシなのかもしれない)は不安で仕方がないけれど、文句を言っても何が変わるわけでもないのは木戸健太(男子六番)の言動によって証明済みなのでどうしようもない。


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