過去ログ - 翠「迷いと遊び、心の中に」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/12/05(木) 00:08:43.34 ID:My2ZDWWTo


「あのさ、一応聞きたいんだけど。…最近翠に何か相談とかされたりした?」
 遠くではフラッシュがパチパチと焚かれ、良いムードで進行しているが、対して渚の表情は決して明朗とは言えないものであった。
 それが、面白い話題ではない事を明らかにさせる。
「相談か……仕事のやり方とかコツとかを訊かれたことはあるけど。……渚の求めている事とは違う、そうなんだろう?」
 そう尋ね返すと、渚は鼻の下をこすって小さく笑った。

 こうして仕事中にけしかけてまで訊くような質問が、そんな当り障りのない所に落ち着いている訳がない。
 しかし、だからといって渚の質問にはこう答えるしかないのだ。

 水野翠。極めて落ち着いた面持ちで、そして一生懸命に仕事に励むアイドルだ。
 この事務所の中では際立って真面目さが突出しており、派手で個性の強いアイドル達の中では埋もれがちながらも、真摯な態度と仕事ぶりに定評のある子である。
 ……尤も、仕事をする人間とは本来こうあるべきなのだろうが、どういう訳かウチの所属のアイドルたちは個性が強すぎるきらいがある。

 そういった意味でも、彼女の佇まいというのはそれなりに異色であった。

「さすがプロデューサーだねッ」
 渚は言う。
 もし一つ目の答えだけで会話が終了していたのであれば、俺は渚を叱ってやらねばなるまい。
 しかし、渚はこうする必要があって来たのだから、俺はその先の言葉を待つことにした。

「実はね、翠のやつ、ちょっと自分のことで悩んでるらしいんだ」
「自分のことで? 仕事のことじゃなくてか?」
 渚は俺の返答にもならない返答を飲み込んで、事情を説明し始める。
「翠って、贔屓かもしれないけど結構仕事できる子でしょ? だから、…いや、だからこそ、この先の自分に不安を感じているみたいなんだ」

 暗がりでも、彼女を思う渚の気持ちが伝わってくる。
 決して安易な冗談ではない。
 普段快活な彼女がそんな表情をするのだから、よほどそう感じたのだろう、心配という言葉がありありと俺の脳に伝達させた。





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