20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:34:23.16 ID:gLkbd9Kt0
「あ……、さくらごめんね、今日だけ」
私は小声でさくらに言うと、お弁当を包みなおして立ち上がった。
いつのまにか周りの生徒の声は小さくなっていた。みんな自分の食事に戻っている。さくらは何も言わずに手を振った。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:34:55.21 ID:gLkbd9Kt0
「心を無にして。何も考えないで」
「え?」
突然、緋月先輩は私の腕をつかむと自分の方に引きよせた。
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:35:29.66 ID:gLkbd9Kt0
「大丈夫?」
「多分……」
「初めてでこんなに心をとられたら仕方ないわ」
「あの、心をとるとかってどういう……」
「それはまた今度」
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:36:20.65 ID:gLkbd9Kt0
ピキッ……ピキッ……。
周りを見ると、全てがゆれていた。だけど、私はゆれてない。
「え、え……なんなの……」
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:36:56.70 ID:gLkbd9Kt0
『はやせちゃん』
『のろってやる』
え?
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:37:49.92 ID:gLkbd9Kt0
飛び起きると、そこは真っ青な空がすぐそこに広がる屋上だった。
「……、先輩……」
横に座って私の顔をのぞきこんでいた緋月先輩のほっとしたような表情を見ると、なんでか泣き出しそうになった。
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:38:33.28 ID:gLkbd9Kt0
「そんなことより、もう時間がないわ」
「時間?」
「あなたの心情でここにある結界を破った。まさかあんなに強いものだとは思わなかったのだけど。やっぱりあなたを選んでよかったわ。さあ、はじめましょう。あの人たちが来ないうちに」
座りこんだままの私に、緋月先輩がこつこつと近付いてきて、見下ろされる形になった。
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:39:13.97 ID:gLkbd9Kt0
「契約すると能力が手に入るの」
「ちから……」
「そう、能力。あなたは欲しいと思わない?誰よりも優れていると思える能力を」
「誰よりも、すぐれている……」
「能力さえあれば何も怖くないわ。友達を失うことさえも」
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:39:48.57 ID:gLkbd9Kt0
「せんぱっ……」
あわてて起き上がろうとしたのを強い力で押さえられる。ふいに鳥の鳴き声が聞こえた。
そのとたん黒い何かが私の頭上をかすめた。それはコンクリートをえぐるとその跡を残してあとかたもなく消えた。
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:40:20.64 ID:gLkbd9Kt0
「逃がさないよっ」
声と供<共>に黒い影が下りてくる。後ろでしゃがみ込みコンクリートに手を当てていた緋月先輩はその影に覚えがあるようで目を丸くして立ち上がった。
先輩の握ったこぶしが青い電気みたいなものを放っている。影はその正体をかくしていた真っ黒いローブを顔の部分だけとった。
そこには若い二十代くらいの女性の顔があった。
67Res/61.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。