過去ログ - 日向「信じて送り出した七海が」狛枝「2スレ目かな」
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985:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/05(水) 04:59:23.60 ID:peHDovB80
プログラム本部となっている小中学校から見て真東にあたるE=06エリアのほぼ中心には、御神島唯一の神社が存在し、そこに4人の男女がいた。

島の名前に“神”が入っているが、特別な神様を祭っているものなのかどうかは不明である(この島に昔から住んでいる人に聞けばわかるかもしれないが、生憎プログラムのために島民は全て追い出されてしまっているので聞きようがない)。
まあ、何を祭っていようが関係ない。
たとえ神がいようが何だろうが、現在ここは戦場なのだから。

1時間半前にあった定時放送では7人の名前が呼ばれた。
その中で実際に亡骸を確認したのは、教室で全員の眼前で射殺された田中顕昌(男子十一番)と、小中学校から僅かしか離れていない場所で倒れていた横山圭(男子十八番)のみで、後はこの島のどこかで斃れているらしいが実感が湧かない。
本当に自分たちが殺し合いなんてしなければならないのだろうか、これは全部悪い冗談で、放送で名前を呼ばれた人たちもドッキリに加担していて後でひょっこり顔を出すのではないだろうか――人の亡骸を見ても尚そう思えてしまう。
そう思えてしまう大きな要因は――

佐伯華那(女子七番)は右手に持っている卓球ラケットをじっと見つめた。
家庭科部に所属し運動は苦手でのんびり屋の華那には卓球を趣味にした覚えはない――これがデイパックに入っていた支給武器らしきものだった。
スポーツの道具にしても、例えば野球のバットやホッケーのスティックであったなら武器と言われても頷くことはできるのだが、卓球のラケットで何ができるというのか。

「華那、ラケットがどうかした?
 へへっ…それがバドミントンのラケットだったら、バドミントンしたいんだけどなー」

華那の隣で膝を抱えて座っていた山本真子(女子十九番)がにこりと笑んだ。
真子はクラスの中では目立たないグループに属する華那とは違い女子主流派グループの中でいつも騒いでいる、広瀬邑子(女子十五番)に次いで小柄な女の子で、確かバドミントン部に所属していたと記憶している。
教室ではライド(担当教官)に、「自分の父親は国会議員なのに、どうしてプログラムに選ばれてしまったのか」という趣旨の質問をしたが責められるように言葉を返されて泣いてしまい、今も目が腫れてしまっている。
笑顔にも元気は感じられないし、活発さを表しているかのようなサイドポニーも今はセットが乱れてしまっている(そう言う華那自身も、天然パーマの短めのツインテールが大いに乱れているのだが、鏡を見ていないので気付いていない)。
そんな真子の傍には、これさえ捲れば大抵の言葉の意味を知ることができるであろう大東亜広辞苑が置かれているのだが、そんな知識の本こそが真子の武器だ。

「いいねーバドミントンかー…俺結構強いと思うんだけど!
 ふふふふーんふーん、ふふふふーんふーん、ふふふふーんふーん、ガンニョムー♪
 ああっ、ちょ…顔に嵌めるパーツ落ちた!!」

地面と砂を被ったコンクリートの地面と睨めっこをする川原龍輝(男子五番)の右手には、組み立てかけのプラモデルが握られている。
それは、1970年代に初めてテレビ放映されてから幾度も様々なシリーズが放映され、大東亜人ならその名を知らない者はいないであろう世代を超えた人気アニメ『機動戦士ガンニョム』シリーズで、登場人物たちが登場して宇宙で戦う人型機動兵器を模したプラモデル、通称・ガンプラ――卓球ラケットや広辞苑も大概だと思うが、信じられないことにこれが龍輝に支給された武器だ(武器でも何でもないが。そして卓球ラケットや大東亜広辞苑にもそれは言えることだが)。


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