過去ログ - 日向「信じて送り出した七海が」狛枝「2スレ目かな」
↓
1-
覧
板
20
988
:
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/05(水) 05:00:56.36 ID:peHDovB80
龍輝は気遣わしげにそう言うと、華那の色素の薄い天然パーマの頭を優しく撫でた。
いくら昔からの縁があるからとはいえ、年頃の男の子が彼女でもない女の子にするような行為ではないと思うのだが、気遣ってくれてのことだから文句は言わない。
龍輝の言う通り、華那とペースが似ているのんびり屋の荻野千世(女子三番)と同じ班の宍貝雄大(男子八番)と、非常に大人しく内気な室町古都美(女子十八番)と同じ班の圭が名前を呼ばれていることは気に掛かる。
華那が言える立場ではないのだが、2人共鈍くさいところがあるので、怪我などしていなければ良いのだが。
「それに鷹城のことも心配だろ?
俺あんま喋ったことないけどさ、大人しい感じだし…」
「…うーん……まあ……」
華那は言葉を濁した。
その反応が予想とは違うものだったからか、龍輝が怪訝な表情を浮かべ、悠希と真子も顔を見合わせて首を傾げていた。
華那は、鷹城雪美(女子九番)に対して苦手意識を持っていた。
雪美は自分のことをあまり語らないミステリアスな部分もあるが、基本的にはとてもおっとりとしていて穏やかな笑顔を絶やさない穏やかな人だ。
それでいていつも華那たちの手を引いて導くような優しさのあるリーダーシップを持っているので、千世はいつも雪美を頼っているし、古都美は雪美にべったりだ。
しかし、華那はそんな雪美に違和感を憶えていた。
穏やかな笑顔はいつも貼り付けているだけの上辺だけのものに見えたし、おっとりした口調でたまに冷たい言葉を吐くことがあるのだけれどそれが妙に板についていたし、いつもどこか冷めた目で華那たちを見ているような気がしていた。
古都美なんかは「雪ちゃんの笑顔は優しいよね」と絶賛するけれども、華那に言わせれば、どんなに表情が笑っていても目がちっとも笑わないあの笑顔は不気味だ。
とにかく、怖いのだ。
鷹城雪美という、友人カテゴリーに入るはずの同級生のことが。
「佐伯さん…?
大丈夫? 顔色悪いけど…」
悠希が心配そうに華那の顔を覗き込んだ。
一般的な女の子が向けられれば赤面するであろう端正な顔が華那の視界いっぱいに広がり、華那はへらっと笑みを浮かべた。
悠希は華那のタイプではないけれど、その気遣いはありがたかった。
「あ、うんー、ありがとう雨宮くん。
かな大丈夫だよー…――ッ!!」
華那は小さな目を大きく見開いた。
華那だけでなく、その場にいた全員が戦慄した。
何者かの足音が近付いてきたのだ。
クラスメイトが襲ってくるということが想像できなくとも、やはり戦場における第三者の気配は心地良いものではない。
神社の拝殿の裏側にいる華那たちに身を隠す場所はない――建物の裏側までわざわざ誰も来ないだろうと高をくくっていたのだが、それは甘すぎる考えだったと後悔するがもう遅い。
拝殿の角を曲がり、その何者かが姿を現した。
華那たちに刺すような鋭い視線を向けたその人物――榊原賢吾(男子七番)は、右手に携えていた刀を鞘から抜くと、一直線に突っ込んできて距離を詰めてきた。
剣道部に所属している賢吾が刀を持っているというのは、たとえ剣道という型をはみ出た動きをしていても恐ろしいことこの上ない。
賢吾は普段と変わらない硬い表情を崩さず、華那の頭上目掛けて刀を振り下ろした。
「華那ッ!!」
刹那、華那は龍輝に腕を引っ張られてその身体を龍輝の胸の中に埋めた。
その勢いのまま2人は抱き合った状態で地面を転がった。
刃は空を切り、地面に当たって不快な音を鳴らした。
「華那、川原くん…ッ!!」
「甘い甘いっ、他所見してたら駄目よ、真子ッ!!」
華那と龍輝に気を取られていた真子は、名前を呼ばれ振り返り、目を見開いた。
賢吾が現れた角とは反対側から、別のクラスメイトが襲い掛かってきていたのだ。
金髪を巻いたツインテールに赤いピアス、紫色のセータという派手な容姿をした、ギャルグループの1人である湯浅季莉(女子二十番)が、真子に掴み掛ろうとしていた――その手に、鎌を持って。
<<前のレス[*]
|
次のレス[#]>>
1002Res/525.02 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
板[3]
1-[1]
l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。
過去ログ - 日向「信じて送り出した七海が」狛枝「2スレ目かな」 -SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1386586009/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice