31: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:45:33.68 ID:9Oq90F5Q0
「そうと決まれば、親御さんに説明しないとね。小日向さん、ご両親は何時ごろに揃う?」
「えっと、お父さんの仕事が17時ごろに終わるから……。家に着くころには帰っているかと思います」
「さてと、気合を入れてかからないといけないな。なんせ目に入れても痛くないぐらい可愛い娘さんを預かるんだ。覚悟を決めないと」
32: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:47:39.46 ID:97eMtu660
「えっと、私の家ここです」
バスから降りて、少し歩くと小日向と書かれた表札を見つけた。どうやら彼女の家はここらしい。
――懐かしいな。そう心の中で呟く。
33: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:49:34.05 ID:9Oq90F5Q0
「ちょっと待った」
「へ?」
俺が呼び止めると、彼女はキョトンとした表情で俺を見ていた。彼女に近づいて、頭に付いたままのそれを取る。
34: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:51:11.93 ID:CqPhwtAx0
なんせ彼女との最初の思い出なのだ。なんとなくだけど、取っておきたいと思えた。
使い道を聞かれると困るが、スケジュール帳のしおりなんかにちょうどいいかも知れない。
「え、えっと。き、気を取り直して。呼んできますね?」
35: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:55:18.14 ID:CqPhwtAx0
「失礼致します!」
「……」
ドアを開けると、険しそうな表情をした男性。父親だろうか?
36: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:58:20.68 ID:9Oq90F5Q0
数分後。
「いやー、君がこの町出身だったなんてね! 驚いたよ」
「は、ははは……」
37: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:59:58.58 ID:atxTBXbG0
結果、思っていた以上にスムーズに話は進んでいった。素性も分からないような人間よりも、同郷の人間に預ける方が良いということだった。
「美穂がこうやって自分で何かを始めたいって強く言ったのは、初めてでした」
とは御袋さんの談。その表情は、嬉しそうにも寂しそうにも見えた。
38: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 01:01:15.00 ID:9Oq90F5Q0
御袋さんはなぜかニヤニヤしながら俺のコップにお酒を注いでくれる。何か変なことを言っただろうか?
トップアイドルになれると言うのはお世辞じゃなくて、本心からそう思っている。
確かにもっと探せば、より良い原石はいるかもしれない。
だけど輝かせたいと、魅力を日本中に伝えたいとここまで強く思えたのは、彼女が初めてだった。
39: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 01:04:22.21 ID:eGqHUSm40
「お父さん、寝るなら布団で寝ないと!」
「まぁまぁ、お父さん、寂しいのよ。お酒でも飲まないとやっていけないぐらいにね」
御袋さんも遠くを見るかのような、寂しそうな目をして言う。
40: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 01:05:57.26 ID:9Oq90F5Q0
「ありがとう。それより、プロデューサー君」
「はい、なんでしょうか?」
「君、美穂がタイプなの?」
41: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 01:07:50.11 ID:97eMtu660
「あ、あはは」
「う?」
互いに顔を見るのが恥ずかしくなり、そっぽを向いてしまった。これじゃあまるで初心な中学生カップルだ。
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