1:1 ◆Fcc.dS0wHg
2013/12/24(火) 08:26:48.66 ID:i4mBSR7lo
ダンガンロンパSSです。
江ノ島と戦刃の誕生日記念ということで書いていました。江ノ島視点で書かれています。
なお若干キャラ崩壊してます。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:1 ◆Fcc.dS0wHg
2013/12/24(火) 08:27:48.07 ID:i4mBSR7lo
――誕生記念日などとは言いますが、私が生を受けたことの何に私は慶祝すれば良いのでしょう?果たして私は祝福されるべき人間なのでしょうか?無垢に祝われている日というのは、存外に少ないものです。騒ぎたいのなら勝手にしてもらいたいものだけれど。しかし周りの人間は、そんなこと微塵も気にしていないようです。ああ、つまらない。
3:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 08:29:54.99 ID:i4mBSR7lo
「さむっ」
私の起床は、間抜けな一言と共にやってくる。まだ重たい瞼を擦って布団を抜け出すと、朝の厳しい冷気が全身を襲う。私はしぶしぶ布団を捲る。枕元の時計は、九時を少し過ぎたところを指していた。布団に戻ろうとする衝動を幾度か抑え込み、私はカーテンを勢い良く開ける。
4:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 08:31:34.34 ID:i4mBSR7lo
「まぶしっ」
調子はずれな声が再び漏れる。しかし、私は恥を覚えない。もちろん、自覚していない訳ではない。ただ、この状況での私の恥の証人は、ただ私一人だけなのだ。窓の外に見る寡黙な朝日だけが、私の頬を撫でていた。
部屋には柔らかな日射しが広がっていた。私は不安定な足取りでテーブルへと向かう。何度か身震いをしながら、私はマグカップにインスタントコーヒーを入れる。眠気を催しつつ、コーヒーの湯気を鼻に含む。しかし、私はそれをすぐには喫しない。
5:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 08:37:26.79 ID:i4mBSR7lo
「もう一眠りしよっかな……」
ぽつりと呟きを漏らしながら、マドラースプーンでコーヒーに渦を描く。希望ヶ峰学園の冬休みは退屈だった。それもその筈で、僅かな帰省期間を与えられた本科生が、貴重な年の瀬を故郷で過ごそうと考えない訳がない。ひどい飽き性を患う私だ。この生活に無聊を託つことにさえ、飽き飽きしていたのは言うまでもない。
そんな下らない思慮が私の眠気を誘引した。思慮し始めてから眠気の起るまでに、ほとんど時間は無かったように思われる。深い沼から黒い影を引き揚げるように、ただ緩やかに誘発は行われ、完結していた。そこに偶然性などは無い。なるほどまるで初めから、二つの運動は何かで結びつけられていたようだった。
6:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 08:41:56.98 ID:i4mBSR7lo
「よし、寝る。寝ちゃおう、あたし」
独り言に続いて、深いあくびが口から零れ出る。宣言通り布団に潜ろうと私は席を立つ。ところが、たった一つの物音のために純粋な私の決意は妨害され、拒絶されたのだった。甲高い電子音が部屋に木霊する。溜息を吐く私は、常々考える一つのことを思っていた。
私の意志と達成との間にはだかる障害は、この世には余りにも多過ぎる。……コーヒーは誰の口に含まれる訳でもなく、ただスプーンの刺さったまま湯気をたてていた。
7:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 08:57:03.21 ID:KeU7NEZ1o
「……誰だろ」
私は推測を始める。まず思い至ったのは、最も親睦の深い級友だった。思惟は帰郷期間という特殊な前提を孕んでいるため、造作無く名前を絞り込むことができた。泊り込みでの船上博打に耽るギャンブラーや、単車で列島縦断を試みる暴走族のように、帰省でなくとも寮を離れる生徒は多い。
8:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:04:49.99 ID:wOvnHE87o
「霧切に石丸、不二咲……あとは残姉か」
私は右手で指折り数えるのだが、折られたのは薬指までだった。それほどに少ないのかと思うと、胸にはうら寂しさが募る。私は私の右の手を凝視していた。こうしてみると、折られることの無かった小指が、さながら意思を持ち、私の孤独の代理をしているように感じられた。
9:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:10:24.87 ID:wOvnHE87o
「うん、別にいいよー。あ、メイクと着替えしてくるからちょっと待ってて」
「……メイクしてなかったんだ、ごめんねぇ」
細い呟きが聞こえた。私は応じない。と言うのも、私は既にドアを閉める動作にかかっていたのだ。無礼とはいえ、私とて病で臥るのは芳しくない。私はドアノブを引く。みるみる内に彼の顔は現実の光景から免れ、雪崩れ込んでいた冷気が遮断される。かくしてドアは再び私と彼との間に懸隔をもたらしたのだった。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/12/24(火) 09:16:08.23 ID:4upMo3Gn0
せめて改行しようぜ…
11:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:28:26.64 ID:CMDf4Engo
>>10
改行したほうがいいですかね?
あまりSSの書き方に馴染みが無いので……
12:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:37:19.37 ID:CMDf4Engo
>>2のレスから順に改行を施していきます。
つまらない作品ですが、何卒お付き合いよろしくお願い致します。
13:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:39:20.38 ID:CMDf4Engo
――誕生記念日などとは言いますが、私が生を受けたことの何に私は慶祝すれば良いのでしょう?
果たして私は祝福されるべき人間なのでしょうか?
無垢に祝われている日というのは、存外に少ないものです。
14:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:41:00.09 ID:CMDf4Engo
「……さむっ」
私の起床は、間抜けな一言と共にやってくる。
まだ重たい瞼を擦って布団を抜け出すと、朝の厳しい冷気が全身を襲う。
15:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:51:06.50 ID:wlhPVQqso
「まぶしっ」
調子はずれな声が再び漏れる。
しかし、私は恥を覚えない。
16:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:51:34.75 ID:wlhPVQqso
部屋には柔らかな日射しが広がっていた。
私は不安定な足取りでテーブルへと向かう。
何度か身震いをしながら、私はマグカップにインスタントコーヒーを入れる。
17:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:53:24.81 ID:wlhPVQqso
「もう一眠りしよっかな……」
ぽつりと呟きを漏らしながら、マドラースプーンでコーヒーに渦を描く。
希望ヶ峰学園の冬休みは退屈だった。
18:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:54:23.25 ID:wlhPVQqso
そんな下らない思慮が私の眠気を誘引した。
思慮し始めてから眠気の起るまでに、ほとんど時間は無かったように思われる。
深い沼から黒い影を引き揚げるように、ただ緩やかに誘発は行われ、完結していた。
19:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:55:28.49 ID:wlhPVQqso
「よし、寝る。寝ちゃおう、あたし」
独り言に続いて、深いあくびが口から零れ出る。
宣言通り布団に潜ろうと私は席を立つ。
20:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:56:17.69 ID:wlhPVQqso
甲高い電子音が部屋に木霊する。
溜息を吐く私は、常々考える一つのことを思っていた。
私の意志と達成との間にはだかる障害は、この世には余りにも多過ぎる。
21:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:57:12.55 ID:wlhPVQqso
「……誰だろ」
私は推測を始める。
まず思い至ったのは、最も親睦の深い級友だった。
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