過去ログ - 江ノ島「つまらないね」
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6:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 08:41:56.98 ID:i4mBSR7lo
 「よし、寝る。寝ちゃおう、あたし」

 独り言に続いて、深いあくびが口から零れ出る。宣言通り布団に潜ろうと私は席を立つ。ところが、たった一つの物音のために純粋な私の決意は妨害され、拒絶されたのだった。甲高い電子音が部屋に木霊する。溜息を吐く私は、常々考える一つのことを思っていた。
 私の意志と達成との間にはだかる障害は、この世には余りにも多過ぎる。……コーヒーは誰の口に含まれる訳でもなく、ただスプーンの刺さったまま湯気をたてていた。


7:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 08:57:03.21 ID:KeU7NEZ1o
 「……誰だろ」

 私は推測を始める。まず思い至ったのは、最も親睦の深い級友だった。思惟は帰郷期間という特殊な前提を孕んでいるため、造作無く名前を絞り込むことができた。泊り込みでの船上博打に耽るギャンブラーや、単車で列島縦断を試みる暴走族のように、帰省でなくとも寮を離れる生徒は多い。


8:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:04:49.99 ID:wOvnHE87o
 「霧切に石丸、不二咲……あとは残姉か」

 私は右手で指折り数えるのだが、折られたのは薬指までだった。それほどに少ないのかと思うと、胸にはうら寂しさが募る。私は私の右の手を凝視していた。こうしてみると、折られることの無かった小指が、さながら意思を持ち、私の孤独の代理をしているように感じられた。


9:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:10:24.87 ID:wOvnHE87o
 「うん、別にいいよー。あ、メイクと着替えしてくるからちょっと待ってて」

 「……メイクしてなかったんだ、ごめんねぇ」

 細い呟きが聞こえた。私は応じない。と言うのも、私は既にドアを閉める動作にかかっていたのだ。無礼とはいえ、私とて病で臥るのは芳しくない。私はドアノブを引く。みるみる内に彼の顔は現実の光景から免れ、雪崩れ込んでいた冷気が遮断される。かくしてドアは再び私と彼との間に懸隔をもたらしたのだった。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/12/24(火) 09:16:08.23 ID:4upMo3Gn0
せめて改行しようぜ…


11:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:28:26.64 ID:CMDf4Engo
>>10
改行したほうがいいですかね?
あまりSSの書き方に馴染みが無いので……


12:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:37:19.37 ID:CMDf4Engo
>>2のレスから順に改行を施していきます。
つまらない作品ですが、何卒お付き合いよろしくお願い致します。


13:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:39:20.38 ID:CMDf4Engo
 ――誕生記念日などとは言いますが、私が生を受けたことの何に私は慶祝すれば良いのでしょう?

 果たして私は祝福されるべき人間なのでしょうか?

 無垢に祝われている日というのは、存外に少ないものです。
以下略



14:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:41:00.09 ID:CMDf4Engo
 「……さむっ」

 私の起床は、間抜けな一言と共にやってくる。

 まだ重たい瞼を擦って布団を抜け出すと、朝の厳しい冷気が全身を襲う。
以下略



15:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:51:06.50 ID:wlhPVQqso
 「まぶしっ」

 調子はずれな声が再び漏れる。

 しかし、私は恥を覚えない。
以下略



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