14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 20:48:42.64 ID:mMrPH74Do
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「はは、これだと俺の家が便利になっていくな」
昼食時、人の多いショッピングモールの中でも特に混雑しているフードコートの喧騒に包まれながら、俺達は各々の食べたい料理を食べ始めていた。
四人がけの小さなテーブルの隣にはあの時よりも更に荷物が増えた二段カートがある。
結局、二段カートに置かれたカゴには、本来買う予定だった日用品や買い置き用のインスタント食品や飲み物だけでなく、薦めてきた商品や話題の食べ物、そして三人のほしいデザートなど、いつのまにかそこそこの量になっていた。
更に昼食までに色々店を回ったせいで、カゴに一杯どころか三人の手にも持っているような状況である。
当然ながら彼女たちの手に持っているものは雑貨や服で、決して納豆を持たせているのではない、と予め説明しておきたい。
プレゼントときいて心配する泉や終始ニコニコしているさくらも普段通りの買い物をし、最初は値段を格闘していた亜子も、今では純粋に物を買うことを楽しんでいるようであった。
無論、安い値段を見つけて買うことも楽しみといえば楽しみではあるが、商品そのものに楽しみを覚えなければ楽しい買い物は成立しないのではないかと思う。
そういう意味では、俺の財布が軽くなったのは無駄ではなかろう。
「それにしても、よくこれだけ買い物できたな。こんなに買い物をするのは多分初めてじゃないか?」
塩ラーメンをすすり、熱くなった喉を水で癒やすと、俺はふとカートの中身をみて呟く。
事実、買い置きや予備といった概念なく買い物をしていた俺にとって、まさか今の身分でカートを使う時が来ようとは思いもしなかったのである。
「え〜、これが普通ですよぉ」
「さくら、普通じゃないから。……でも、家族だったらこんなものなのかもね」
食事途中で箸を置いた泉が、静かにそう言った。
「家族なー……そういや泉。弟は今どうなん?」
「どうって言われても……ふふ、元気だよ。楽しくやってるみたい」
弟とは、無論泉の弟のことである。
泉がアイドルとなる際、女子料へと引っ越しを行ったため、家族とは年に数回しか会えない状況が続いている。
同様にさくらや亜子も静岡から東京に引っ越ししているため、帰省という形態をとっているのであった。
幸いなのは、まだ静岡が東京からそう離れていないことだろうか。
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