17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 20:52:59.01 ID:mMrPH74Do
どうしてだろう、と俺も思う。
いつからなのかということすらも覚えていないことを訊かれても答えようがないのだ。
仕事が単調になってきたからだろうか。プロデューサー業に飽きが来てしまったからだろうか。
いくつもの原因を思い浮かべては霧散させる俺を引き戻したのは、明るい音楽と対照的な声となったさくらであった。
「……プロデューサーさん、今の私達じゃ、だめですかぁ?」
ハッとして正面を見る。
そこには心配している表情の泉が居て、どうしてやれば解決できるだろうか、と企む亜子が居て、純粋な瞳でこちらに真意を投げかけるさくらが居た。
しかし、それらの顔は一見何でもない表情だ。
ただの表情。テレビでよく見るような、ありふれた普通の表情そのものである。
他人が見れば今の泉は落ち着いていて、今の亜子は朗らかにお金のことでも考え、今のさくらは元気にニコニコ笑っている、と思うだろう。
だが俺にはそう見えなかったのだ。
ではどうして俺がそう見えるのだろうか――自問がそこに至ると、己の身に絡みついた懐疑の紐が、そっと、音もなく解けたような気がした。
「……案外、寂しいのは俺の方なのかもな」
固いクッションに背を預けると、ぎゅ、と音がなる。
右手にコップを持てば楽な姿勢で水が飲めたのにな、と思うが、もはや手遅れである。
「プロデューサーさんがですかぁ?」
時間的にそろそろ昼食を終える子が居てもおかしくはないが、中でも早々に昼食を終え、先程買ってきたシュークリームを食べ始めていたさくらは訝しむ様子もなく首を傾げた。
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