22:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 21:05:50.17 ID:mMrPH74Do
言われれば言われるほどますます訳が分からなくなる。
誰しも成長すれば独りでに歩く。それが当たり前であるはずなのに、さくらどころか亜子までもそう言っているのだ。
一応彼女たちの担当である手前、どうしかして答えを探そうと必死で過去の記憶や教訓をほじくりだすが、この広い言葉の海では正解を見つけることはとうとうできなかった。
途端、沈黙する。
まるで禅問答でもしているかのような感覚に陥り始め、この雰囲気をどうしてくれようか、と道を外して考え始めたその時。
「準備できたよ。遅くなってごめんね」
背後から、静かな声が聞こえたのだ。
さくらとも亜子とも違う、落ち着いた声色。無色で透き通ってはいるが、どこか幼気なその声を俺は恐らく忘れはしないだろう。
「あ、やっとできたんだあ、イズミン!」
ぱたぱた、と近づこうとして手に野菜が付いていることを思い出し、さくらが慌てて手を洗う。
亜子も先程とは違って笑みを浮かべ、俺達とは少し離れてテーブルに立っている泉のもとに寄っていった。
当然フライパンの火は消しているが、せっかく熱したフライパンを冷ましてしまうような行為は亜子なら嫌うだろうと思っていたのだが、存外そんなことはなく、さも当然かのように行ってしまった。
「ほら、何してるの。Pも来て」
「え?」
おもむろに手招きをする泉を見て、思わず呆気にとられてしまう。
一体何が起きているのか、そして一体何が起きるのか。
全く言葉の意を解せぬまま、戻ってきたさくらに手を引かれ、俺はキッチンを後にする。
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