24:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 21:13:12.39 ID:mMrPH74Do
話の流れで言えばよくわかる。
恐らく俺と亜子、そしてさくらがキッチン側で作業をしている間、泉が別行動でこのラックを組み立てていたのだろう。
しかし感ずるべきはそこではなく、もっと大本のところである。
「わざわざ置いてくれるのはありがたいが、一体どうして?」
アルミラック、もといテレビ台と俺の居る距離はそれなりに離れており、ここからじゃラックの上に載っているものが何か、判別できそうにはない。
一方、彼女たちはあれがどういうものなのか、どういう理由であるのかといった事が完全に理解しているようで、疑問を抱くことなく、すんなりと俺をそのラックの下へ誘導したのである。
「これは無駄遣いじゃないよ。とってもイイもんだからね!」
歩くにつれて形がはっきりし始め、ついに俺の視線が『それ』を捉えると、俺が驚く間もなく亜子は笑った。
二段の細長いラックに置かれていたものは、四色のグッズであった。
そしてそれらの四つのグッズには、確かに見覚えがあったのである。
「やっと気づいたね」
泉は俺の袖を摘んで、左右へ僅かに揺らした。
「いや、これは……今日買ったやつじゃないか」
そう、俺の今見ているそれらは、今日出かけた店で自由に買い物をしていた時、三人がそれぞれ色々な物を買った中の一つなのだ。
「これ、何に見える?」
泉の問いに、改めてそれらを注視する。
一段目には真っ赤なリボンとヒマワリのアクセサリー、そして二段目には黒いブレスレットと青の毛糸のテディベアが置かれている。
彼女たちが買ってきたその当時の事を思い出して記憶と絵合わせをしていた時、亜子は声を詰めてはっきりと言った。
「アタシがPちゃんの言う『成長』が違うと思ったのは、やっぱり変わることだけが成長じゃないと思ったからなんよ」
やはり彼女は、成長という言葉に何か違和感を抱いているようだ。
何故ならば、一般的とも言える意味合いに異議を唱えるのはよっぽどのことだからである。
「もっといっぱいライブをやっても、いっぱいファンのみんなを楽しませても、やっぱり私はみんなと一緒に居たいなぁ」
さくらは言う。
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