過去ログ - 解体された艦娘の話
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6: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 22:15:55.68 ID:a9ZPEh6eo
 近くに神社でもあるのか、たくさんの人出があった。
 誰もがなんとなく、縁起の良さそうな表情をしている。
 これから先の未来になにか良いことがあるだろう、という表情だ。
 わたしはどんな表情をしているだろう。


7: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 22:29:00.63 ID:a9ZPEh6eo
 どこかの子どもがわたしを指さしてなにか言う。
 やめなさい、とその父親が叱りつける。
 そんな光景がなぜかわたしにある種の虚脱感を与えて、少し歩いたところでわたしは座り込んでしまった。


8: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 22:49:12.38 ID:a9ZPEh6eo
 両膝を抱えて、その間に顔を埋める。
 もうどうにでもなれ、という気持ちだった。
 ここで男に襲われようが、凍死しようが、もはやわたしには興味がなかった。
 なにかを考えたり、なにかを想ったりする気力が、いつの間にか失われていた。


9: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 23:09:30.00 ID:a9ZPEh6eo
 あの、と案の定男に声をかけられた。
「大丈夫ですか」
「…………」
「どうかされましたか」
「…………」
以下略



10: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 23:31:03.67 ID:a9ZPEh6eo
 はじめは、彼はただ座っていた。
 わたしはときどき彼のことを眺めたり、また膝に顔をうずめたりしていた。
 けれどやがて彼は、これは僕のひとり語りだから聞かなくてもいいけれど、と前置きをして語り始めた。
「昔さ、仲の良い女の子がいたんだ。
 彼女は僕の家のすぐ向かいにある家の子で、幼いときからよく一緒に遊んでいたんだけど、ある日その子は越してしまうことになったんだ。
以下略



11: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 23:41:51.97 ID:a9ZPEh6eo
 そこまで語って、彼は話をやめた。
 ただわたしのことを見ている。
 彼の無関係な話がなにか良い方向に働いたのか、わたしの虚脱感はいつの間にか、薄れていた。

 十数回の呼吸をしてから明確な発音で、
以下略



12: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 23:45:58.73 ID:a9ZPEh6eo
 それからわたしは、困惑する男に一方的に別れを告げてアパートに戻った。

 解体の提案を拒まなかった理由は、まだ思い付きそうにない。


13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/02(木) 00:46:52.51 ID:n+rzJNGF0
面白そう


14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/02(木) 03:39:36.70 ID:juh5aKBK0
期待


15: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/02(木) 22:56:57.44 ID:h+WQEfwyo
01月02日

「新しく越してこられたの?」
 今日の朝、アパートを出たところで声をかけられた。
 ええ、と頷くと彼女は「やっぱり」とはにかんだ。
以下略



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