過去ログ - 男「お前、本当にアンドロイドなのか」AI「なんでんなこと聞くんだ?」
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26: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/01/19(日) 22:11:03.13 ID:NXXYlcGhO

〜第二地球開拓センター付近の森〜



男「寒い……」ブルブル

AI「人間って不便だな〜俺は寒いとは感じないぜ」

AI「まぁ人工皮膚や臓器の損傷を防ぐために、ちゃんと防寒対策しなきゃいけないけど」

男「……雪がまだ残ってる……あの初雪からまた少し降ってたからな」


ブルルルルルル……


AI「あ、あれ耕作機械じゃん。この森も開拓すんの?」

男「あぁ。この辺り一帯は、第二地球の開拓作業が終わり、人類が移住し終えた後も、第二地球の環境管理の中枢となるところだからな」

男「ここの他にも、アメリカ予定地、イギリス予定地、ロシア予定地……あとどこだっけな?大陸ごとに最低一つは置かれるんだが」

AI「ふーん……生態系とか、いいのか?」

男「自然は残すさ。だが人類が暮らしていく上での自然だ。どの程度の自然をどのように残していけば支障がないのか、スーパーコンピューターとやらでシミュレーションしまくった上で開拓してるんだと」

AI「へー……でもそのシミュレーションが間違ってたら?そしたらどうする?」

男「……もしスーパーコンピューターのシミュレーションでさえ分からなかった悪影響が出るとしたら、単に人類の寿命はそこまでだって話だ」

AI「うわー淡白だなー」

男「俺が死んだ後の人類など知らん。元々嫌いだからな」



森を進んでいくと、やがて崖の淵に辿り着いていた。
向かいには更に切り立つ崖の上から、白濁の滝が流れている。
鼻腔の中にむわっと広がる土と水の匂い。
火星の自然の中には、観光スポットをかねて荒々しい自然を再現した場所もあるが、この光景には及ばないのではないだろうか。



男「モニターの立体映像や火星の自然を見るのとは違うな……人類はその違いに恋い焦がれているのか?」

AI「さぁね。俺には、地球を離れてから人間が一般的に抱えてる、地球喪失のストレスが存在する、っていう臨床的なデータしかないから」

AI「お前はどう感じてる?」

男「……」

男「俺はこの星に人間がいないから、この光景に感動してるんだと思う」

AI「ふーん……そういうもんなのかな」

男「考えてみろ、あと百年したらこの滝も無くなってる。そして人類に寄生されたこの星は緩やかに死んでいって……またいつかボロボロになって捨てられるんだ。人間なんてそんなもんだ、しっかりデータとして覚えとけ」



俺の人工知能には、人間の命は尊いとされている。
臨床データで記録された人間も皆、その生命を大切に思い、全うすべく俺たちコミュニケーション用アンドロイドを必要としていた。
それなのにこの人間は……どうして人間としての自信がないのだろう?





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