過去ログ - 男「誰よりも下手なピアニスト」
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43:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/18(土) 00:05:46.95 ID:P4jVgn+/o
ちょっとピアノ練習するか…


44: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:12:19.38 ID:x25tlFGs0
僕はきらきら星の練習を続ける店長を想像して、ぴったりと今の僕に重ねあわせてみた。
ほとんど違いはないと思う。ただ、一つだけ違うのはその練習が誰かのためなのか、
自分のためなのかという事だけだと思う。

また一つ居場所を無くした僕に残された居場所は少ない。
以下略



45: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:18:42.22 ID:x25tlFGs0
実家に帰るのは何ヶ月ぶりだろうか。誰もいないタイミングを見計らって
忍びこむように寄ることはあったけれど、滞在時間なんてほとんどなかった。

さすがに今回はそうも言ってられない。少なくとも昼間の間は、
この居心地の悪い居場所で、呼吸を殺さなくてはならないのだ。
以下略



46: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:22:53.70 ID:x25tlFGs0
リビングに入ると同時に母は捲し立てるように
喋り出す。

母「あら!おかえりなさい!大丈夫?元気にしてた?風邪とか引いてない?」

以下略



47: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:27:58.44 ID:x25tlFGs0
僕が思っていたよりも身体に疲れが溜まっていたらしく、
目が覚めた時にはもう静けさが辺りを包み込んでいた。

時計を確認するとまだ、ぎりぎり道の駅がやっている可能性のある時間だった。

以下略



48: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:32:12.40 ID:x25tlFGs0
女「あんた……どうしたのそれ?」

男「……はあはあ……」

女「もやしの癖に走るから……まあいいや、入りなよ」
以下略



49: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:34:51.94 ID:x25tlFGs0
女「ほれ、飲みなよ」

男「ありがとう」

一息に水を飲み干して、ようやく一息つくことができた。
以下略



50: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:39:59.25 ID:x25tlFGs0
僕は、将来を嘱望されたピアニスト……正確にはピアニストの卵だった。
色々なコンクールに出て、当たり前のように優勝して、難しい曲だって何でも弾ける、
そう思っていた。

父と母も僕のことを大いに応援してくれていて、時に厳しく、時に優しく僕のことを
以下略



51: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:43:20.58 ID:x25tlFGs0
けれども、いくら繰り返し、繰り返し僕が練習を重ねても弾けそうにもない難曲というのが
この世には沢山あって、少しずつ褒めてもらえることが減っていった。
観客からの喝采は飽きるほどに浴びることができていたのに。

母『もっと頑張れるよ男なら!』
以下略



52: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:48:41.65 ID:x25tlFGs0
ある日、僕はピアノのレッスンの最中にうまく弾けないことに苛立って、
癇癪を起こしてしまった。

講師からの連絡を受けた慌てて母が駆けつけて、見慣れない僕の姿を見て、こう言った。

以下略



53: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:51:50.37 ID:x25tlFGs0
そして今の僕は、道の駅の剥製のように。古ぼけたあのアップライトピアノのように……。
ひたすらに始まりのメヌエットを弾くだけになってしまった。

そして、母と父も壊れてしまった。
僕の事故をきっかけに父は家に帰るのが遅くなり、母は僕に気を遣いすぎて……
以下略



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