20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/01/29(水) 21:29:54.03 ID:Y5VyRhna0
ほむら(なんだろう……? 取りあえず貰った方がいいのかな……?)
訳も分からず、ほむらが受け取ろうと手を伸ばそうとした時、
差し出された少女の中指の付け根で、何かが光った。
ほむら「……?」
それに気を取られてほむらの手が止まったその瞬間。
少女の手からするりと、時計が滑り落ちた。
ほむら「あっ……!?」
おおよそ小物の類とは思えない程の激しい音を伴って、時計が床へと叩き付けられる。
砕け散る金属片と文字盤のガラスは放射状に、スローモーションで再生したように広がっていく。
無数の欠片の一つ一つを認識できるくらいに時間の流れがゆっくりと、渋滞を起こしている。
ガラス片はオレンジ色の照明の光を反射しながら宙に浮き、そのまま落ちることなく固まってしまった。
ほむら(……?)
ほむらはその異様な光景に瞬きを2、3度する。
すると、浮いたガラス片が一斉にまたたいて、その中の一つが横に尾を引きながら
下弦の月の真下を滑っていった。
ほむら(流れ……星……?)
何時の間にかほむらの正面視界いっぱいに、落ちてきそうな程の満天の星空が拡がっていた。
冷たい風がさざめきを伴って、地に寝そべるほむらを撫でる。
背中に感じる重力が先ほどまで直立していた三半規管に混乱を与え
ほむらは軽い目眩と吐き気を催した。
路地も店も跡形もなく消えていた。
ほむら「う……ん」
重い頭を振って上体を起こす。
支えにした手に何かの植物と思われる柔らかな感触が触れた。
ほむら(クローバー……三つ葉の……)
辺り一帯、見渡す限りに同じ種類の葉が生えている。
その緑一色の絨毯の中で一箇所だけ光を集めたように白い花の叢できている。
花は月の光を反射して、闇に囲まれたその空間だけ強烈に輝いていた。
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