過去ログ - モバP「そして輝子は」
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4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/07(金) 01:15:16.84 ID:XywmlDJw0


 平日は学校が終われば、家にこもってキノコの栽培に努めた。自分の部屋に栽培スペースを設け、独学で友達を増やしていく。休日は鉢植えを抱え、キノコと共に散歩などをして過ごした。そんな日々が経過し、キノコを親友と称するようになった頃、彼女に声をかける者がいた。

「き、君、いつからいたんだ?」

 鉢植えを膝に置き、親友と出会った公園のベンチで、輝子は日光浴に興じていた。ポカポカとした陽気に当てられ、彼女は持ち前の奇妙な積極性から、即興で歌を唄い始めた。幼稚なメロディーに、自分の状況を簡潔に示した歌詞をのせていく。すると背後から、上記のように声をかけれらたのである。声の主は、輝子よりも十は年上の男性であった。

 ベンチは背中合わせに二つ並べられ、振り向かなければ、背にいる人には気づきようがない。他に人がいないだろうと、たかをくくっていた中で歌声が聞こえてきたものだから、きっとその男は、びっくりしたに違いない。しかし、輝子にそれを気遣えというのは、酷なことだとわかってほしい。彼女は対人となると、それほど鈍いのだ。

「さ、さっきからいましたけど……」

 そういうわけで、輝子は歌声を聞かれた照れもなく、男に対する心配もなく、訊かれたことだけを素直に答えた。男は「そうか」とだけ答えて、彼女をジロジロと注視する。これまた、彼女の対人関係の浅さくる、危機感の欠如である。年上の男に見つめられようと、彼女が逃げ出すことはないのだ。本来なら犯罪に巻き込まれるであろう欠点だが、今回ばかりは功をそうした。




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