4: ◆2DegdJBwqI[saga]
2014/03/19(水) 15:06:42.95 ID:piabdirRo
思い浮かべずにいられるのであれば、その方が幸福であるのは間違いなかった。
あの事故のせいで、恭介は初めて本物の不幸、
自分を根底から揺るがす試練というものを知ったのだった。
そんな事を知りたくなんてなかった。あの事故さえなければ、知らずに済んだ。
事故そのものはわけもわからぬ一瞬の出来事だったから、
さほど苦労なく記憶からかなりその印象を剥ぎ取ることが出来る。
ところが病院での毎日となると、
苦悩に浸っていた時間が長かったせいで中々そうはいかない。
出来ることなら病院と二度とかかわりのない、
自分の忌まわしい記憶に蓋をした生き方をしたいと恭介は思っていた。
しかし今日、途中タクシーを使いながらも彼は、
自主的に自らの足でこの病室の前へと立ったのだった。
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