過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
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2014/05/03(土) 21:02:56.16 ID:3dnvgWSh0
 放課後、校門から離れた花壇のところで、佐城の姿を見かけた。

 土の上にハンカチを敷いて、そこにひとり、ちょこんと腰かけてる。

 膝の上に、たぶん野良の、白猫。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:03:51.00 ID:3dnvgWSh0
「アイドルぅ?」

 変な声が出たよ。

「そう……。だけど……お仕事……ずっと……お休みしてた」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:05:24.99 ID:3dnvgWSh0
「オレが悪かったよ。無理して答えなくて、いいからさ」

 佐城は、制服の袖で目元を拭うと、弱々しく首を横に振る。

「……辛かった。……ずっと……ずっと……。いつも……いつも……」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:06:05.66 ID:3dnvgWSh0
「今の話さ、学校のやつらは知ってんのか?」

「話すの……これが……はじめて」

 涙に濡れた目が、こっちを向いた。
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:06:40.48 ID:3dnvgWSh0
 昼休み、手提げカバンを持って、そそくさと教室を後にする。

 渡り廊下を越えて、細長い校舎の、いちばん奥の部屋。

 そうっと扉を開けると、本独特の匂いが鼻を刺激した。
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:07:21.43 ID:3dnvgWSh0
 しばらくして、本を手に戻ってきたかと思うと、ひとつ向こう側のテーブルに座る。

 佐城はすぐに、読書に集中し始めたけど、オレは気が散って仕方ねぇよ。

 雑誌は隠しちまったし、退屈ったらありゃしねぇ。
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:07:54.39 ID:3dnvgWSh0
「結城さん、これから時間ある?」

 放課後、荷物をまとめてたら、後ろから声をかけられた。

 同じクラスの……名前が出てこねぇ。
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:08:24.33 ID:3dnvgWSh0
 玄関から出ると、グラウンドでサッカーの練習をしてるやつらは大勢いた。

 オレのクラスだけってわけじゃ、なかったんだな。

 そうだよな、オレもう、最終学年なんだよな。
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:08:57.19 ID:3dnvgWSh0
 休み時間だからって椅子に背中を預けて思いっきりだらけてたら、ひっくり返りそうになったよ。

 教室の扉の陰にちょこんと、見覚えのあるお嬢様が立ってやがったからな。

 突然現れた下級生に気づいて、教室内が少しずつざわめき始めている。
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:09:38.27 ID:3dnvgWSh0
 週末、佐城にもらったチケットに書かれた場所に向かったよ。

 駅から少し外れたところにある多目的ホールってことらしい。

 会場が近づくと、明らかにライブイベントに来たって分かる大人たちが増え始めて、自分が出るわけじゃねぇのに、とんでもなく緊張してきた。
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:10:11.72 ID:3dnvgWSh0
 ステージにふっと新たな光が射して、赤色のドレスを着た女の子が佐城の隣に現れる。

 自分の存在感を主張するみたいに、堂々と胸を張るその子は、ばつぐんに綺麗な顔立ちをしてやがる。

 自分を可愛く見せる方法を知ってるっていうのかな、手袋をはめた手を胸に当てたり、ウインクをして見せたり、計算なんだろうけど、本当に可愛いのがしゃくだよな。
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