過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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977:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/08/20(木) 06:15:05.39 ID:hzyaEAjx0

 わたしは、八幡が何に対して怒っているかわからなかった。
横目で見る彼の顔はもはや窓の外など見てはおらず、わたしの横顔を泣きそうな瞳で睨んでいた。
 その物悲しそうな表情がわたしの口から謝罪の言葉が自然とこぼさせる。
 頭では理解が追い付いていってなかった。でも、心が八幡に許しを求めてしまったいた。

八幡「怒鳴ってすみません」

陽乃「いいのよ」

八幡「いえ、よくないです。だから謝罪させてください」

陽乃「……わかったわ」

八幡「ありがとうございます」

陽乃「それで、なにに怒っていたのかな?」

八幡「俺は陽乃さんがわざとクッキーを焦がしたんだと思っていました。でも陽乃さんは
   なにもしていないじゃないですか。それなのに弁解さえしないで」

陽乃「そのことね。なにもしていないは間違いよ」

八幡「え?」

陽乃「だって、わたしがガハマちゃんをけしかけてクッキーを焼かせなければ焦げなかったわ。
   雪乃ちゃんの準備を待ってからやっていれば、なにも問題は起こらなかったはずよ。
   だから、間接的にせよ、わたしがクッキーを台無しにしたことには違いないわ」

八幡「…………それで潔いとでも言ってもらえると思ってるんですか?」

陽乃「別にそう思ってほしいわけでもないわ。私の言動を見てどう解釈するかは
   人それぞれだし、わたしが強制するものでもないわ」

八幡「それでも事実を伝えるべきだったのではないですかね」

 なにを怒っているのかしら? …………しかも時折悲しそうな顔もみせるし。

陽乃「それこそ人が勝手に判断する事よ。真実だろうと事実だろうと実際にあったできごとで
   あろうとなんであっても、それは人が勝手に解釈して、勝手に善悪を判断する事よ。
   だってあなたもそう思っていたんじゃないのかな? よく出てくる例え話がある
   じゃない。人を殺せば人殺しだけど、戦争で人を殺せば英雄ってやつ? 同じ出来事
   なのに、ちょっと条件が違うだけで解釈が違ってくる。しかも、せっかく戦争で英雄に
   なっても、民衆の価値観が変われば犯罪者に様変わりよ。英雄も楽じゃないわね。
   せっかく精神をすり減らしながら人殺しをしてあげているのに、
   ちょっと世論が変われば犯罪者よ。やってられないわよね?」

八幡「それでも俺達が解釈する為の情報を提示してほしかったんですよ」

陽乃「あの状況下で雪乃ちゃんがわたしのいい分を受け入れてくれたかしら?」

八幡「…………それは」

 ほらぁ、目をそらさないの。あたなもわかっているんでしょ?
 それから八幡は何も言ってはこなかった。
 船橋をすぎ、このまま進めばディスティーランドまで行ってしまう。別に今の状態のままで
あろうと八幡と二人っきりで遊んでくるのも悪くはない。でも、夕方には雪乃ちゃんが準備
してくれているパーティーに戻らないといけないのよね。
 せっかく雪乃ちゃんたちが準備してくれているんだもの、
お姉ちゃんとしては時間厳守で行かないとね。

八幡「あの…………陽乃さん?」

 八幡がわたしに声をかけてきたのは、ディスティニーランドのそばまできてからであった。

陽乃「ん?」

八幡「雪乃がどう思おうが、言ってほしかったです」

陽乃「そう…………」

 わたしは息を洩らすように呟く。
 そして、おそらく次に出てくるだろう言葉に私の体は硬くなる。
手にはじっとりとした汗噴き出し、嫌な熱はわたしの体を冷たく冷やしていく。

八幡「俺は知りたかったです。俺がどう判断して、どう行動に出るかなんてわかりません。
   過去のことを今考えても結果はかわりませんから。……でも、それでも知りたかったです」

陽乃「なんでかな?」

八幡「そうですね。俺も雪乃や由比ヶ浜に陽乃さんと同じような事をしてきたからですかね。
   俺がしてきたきたことに対して言い訳したって意味がないと思っていましたから」

陽乃「言い訳したって意味はないわ。その通りじゃない」



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