7: ◆2BIJ5nUpEk[sage]
2014/06/01(日) 23:02:15.16 ID:jYhc2yQnO
「いっ、てェ!?」
急な刺激に、身体が勝手に臨戦態勢に入る。
土御門は冷静な部分でそれを押さえつけ、突き飛ばしてしまった相手を改めて見る。
8: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:02:49.44 ID:jYhc2yQnO
「先生が拾ってきたのか……? 俺は里見蓮太郎だ。まぁ、よろしくな」
手を借りて起き上がった男、蓮太郎は握手したまま自己紹介をしてきた。
不幸な事態だが、こうなってしまった以上、必要以上に敵意を出し続けるのは危険だ。
9: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:03:23.87 ID:jYhc2yQnO
小室菫、里見蓮太郎とともに、薄暗く気味が悪い部屋の中で椅子に座り向かい合う。
気が付けば茶会のようなものが開かれていた。
冷静に、客観的に現状を分析してみると、どうやら自分は異世界に飛ばされたらしい。土御門はそう考えた。
そもそも魔術という存在も、異界の法則を無理矢理現存する世界に出力しているにすぎないのだ。
10: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:03:58.05 ID:jYhc2yQnO
「ガストレアっていうのは、ガストレアウィルスに感染して遺伝子を書き換えられちまった生物のことを言うんだ。ウィルスに感染したら、人間もガストレア化する」
里見蓮太郎は簡潔にそう言った。
女医の菫がそれに続く。
11: ◆2BIJ5nUpEk[sage]
2014/06/01(日) 23:04:46.09 ID:jYhc2yQnO
他にも、いろいろと聞いた。バラニウムという金属がガストレアの再生能力を阻害させることができたり、
そのバラニウムを集めた巨大な壁『モノリス』から放たれる特殊な電磁波がガストレアの進入を妨げ、構築された生存可能地域が『エリア』と呼ばれていたり、
10年前に起きたというガストレア戦争において、妊婦の体内に侵入したウィルスが胎児に取り付き生まれた、異常な身体能力を持つ『呪われた子供たち』についてなど。
民警──民間警備会社と呼ばれる組織が、その『呪われた子供たち』イニシエーターと、その司令塔であり精神的支柱ともなるパートナー、プロモーターとが二人一組となって、対ガストレアのスペシャトリストとして活躍しているのだそうだ。
12: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:05:22.76 ID:jYhc2yQnO
こほん。
土御門はポーカーフェイスで思案していると、あらかた説明も終わったため、次の矛先は正体不明な彼へと向けられた。
「それで、土御門くん。そろそろ君のことを話してもらいたいんだが」
13: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:06:22.13 ID:jYhc2yQnO
土御門はややあって、ようやく口火を切った。
「……オレはこの世界の人間じゃない」
「……は?」
14: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:07:14.51 ID:jYhc2yQnO
蓮太郎は「何言ってんだコイツ」という目で土御門を見ている。
対する菫は、顎に手を当てて考えるようなポーズを取っていた。
まずいな。
あまりに突拍子のない話すぎたか。
15: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:08:14.70 ID:jYhc2yQnO
背中の傷……雲川芹亜の『処刑』か。
彼はそこで気を失った。
気を失って……。
(……オレは、どうやってこの世界に来たんだ?)
16: ◆2BIJ5nUpEk[saga]
2014/06/01(日) 23:10:39.38 ID:jYhc2yQnO
「……こっちは面白くないがな」
「まあそう言うな。これも何かの縁、或いは神の悪戯か。
ともかく、君は原因不明の何かによってこの世界に来てしまった。
能力だの魔術だのは知らないが、同じ人間だろう?
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