2: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:24:37.92 ID:V2I0Qyiz0
「大変長らくお待たせしました! これより、選手入場です!」
ホールの中央、四方50メートルの巨大なリングの真ん中で、
上下ピンクのスーツに身を包んだ派手な男が天に向かってマイクを掲げた。
3: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:25:32.03 ID:V2I0Qyiz0
「青コーナー。月並工業株式会社、技術制作部、半導体研究科、一般社員。
サトウゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウ
ケンタァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアア!!!!!」
4: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:26:28.51 ID:V2I0Qyiz0
佐藤は強張った面持ちで花道の真ん中を闊歩した。
湧き立つ歓声や焚きつけられるフラッシュを振り払うように、
前方のリングを真っ直ぐに見据えて一歩一歩足を進める。
5: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:27:17.74 ID:V2I0Qyiz0
「赤コーナー。丸々製薬株式会社、宣伝部、部長。
ヤマダァァァァァァァァァァアアアアアア
タロウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥォォォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!!」
6: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:28:00.76 ID:V2I0Qyiz0
山田は花道の観客に礼を返しながら、優雅な足取りでリングを目指す。
頭を下げる度に、上昇気流となった熱気が彼の頭部を優しく撫でる。
頭頂に横たわった幾ばくかの髪の毛が、釣られるようにフワリと空へたなびいた。
7: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:28:44.06 ID:V2I0Qyiz0
「両者、リングの中央へ」
アナウンスに導かれ、王者の山田、そして挑戦者の佐藤が互いに手の届く距離まで歩を進めた。
そして同時に懐へ手を伸ばす。
8: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:29:31.18 ID:V2I0Qyiz0
名刺交換。
それは単なる社交辞令ではなく、戦いの前における神聖な儀式とされている。
古くは戦国時代、武将が戦場で互いに名乗りを上げた事が由来とされており、
9: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:30:37.37 ID:V2I0Qyiz0
そして現代においてビジネスとは戦いであり、戦いもまたビジネスである。
王者、山田を例にしよう。
彼は丸々製薬の宣伝部長としてリングに立っている。
10: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:31:39.84 ID:V2I0Qyiz0
時に、皆さんは『バーコードバトラー』をご存じだろうか?
199X年、EP社から発売された小さな遊戯機械である。
簡単に説明するなら、
11: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:32:30.89 ID:V2I0Qyiz0
そして、時は20XX年。
EP社は、ついに究極のバーコードバトラーを世に送り出した。
『データを読み取らせて、その情報からキャラクターを生成して戦う』
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