過去ログ - P「律子の淹れるコーヒーはすげー苦い」
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31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:19:18.26 ID:7b2UHG2Go
 ああ、と思い出した。

 そういえば、去年も一昨年も律子の誕生日を忘れなかった。
忘れたのは、きっと、忙しくなったからだと無意識に言い訳する。

以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:20:22.09 ID:7b2UHG2Go
「律子さん、きっと喜びますよ」

 声の調子で察したのか、小鳥さんはどこか心配そうに言った。

 そうだといいんですけど。呟いて、パソコンの電源を入れた。
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33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:21:32.88 ID:7b2UHG2Go
 明日、アイツは二十歳になる。

 もう子供じゃない。俺が口を出せる歳じゃなくなる。
 思わず溜息が抜ける。

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34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:22:12.86 ID:7b2UHG2Go
「プレゼントあげたら、喜ぶと思いますよ?」

「そうですかね」

「まだ用意してないんでしょう? 今からでも買ったらいかがです」
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35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:22:41.20 ID:7b2UHG2Go
「また、前みたいに仲良くできますよ」

 小鳥さんは俺のマグカップをデスクから拾って、コーヒーのおかわりを淹れに行った。

 少し、濃く淹れてください。給湯室に向かって言うと、はあい、と返事が聞こえた。
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36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:23:27.88 ID:7b2UHG2Go
「今日はどうもすみませんでした」

 それで、なにかご用ですか。なんてトゲが続きそうな言い方だったが、風邪のせいかそれで終わりだった。

「ああ、いや、まあ」
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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:24:53.62 ID:7b2UHG2Go
「なあ、律子」

「なんです」

「昨日は、傘……悪かった」
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:25:39.44 ID:7b2UHG2Go
 俺は携帯電話をポケットに入れて、少し遠回りの道を歩いた。靴に雨が染み始めた。

 ふと、律子へのプレゼントに時計を買おうと思い立った。ちょっと高い腕時計を。

 俺と律子の間の空洞を、秒針が細かく切り刻んでくれればいい。
以下略



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:26:39.95 ID:7b2UHG2Go
 三つ目のショーケースの前で、俺は立ち止まった。
落書きのような値札の数字はあまり見ないように、並んだ腕時計の金属の質感を想像する。

「お探し物ですか」

以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:27:23.15 ID:7b2UHG2Go
「こちらはいかがです」
 彼は俺の目に留まっていた時計を拾い上げて見せた。
 銀と白を基調にしたシンプルな文字盤がしゃれている。
全体的に小振りなデザインで、律子の細い手首に良く似合いそうだった。

以下略



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/23(月) 10:28:35.71 ID:7b2UHG2Go
「いいんですけど、ね。もう少し見ようかと」

 見ようかと、と言ったところで彼の言う通り他の時計はあまりピンとこない。
ぐるぐる見回しても、結局彼の手にある銀の時計に目が留まる。

以下略



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