10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/06/25(水) 23:17:54.65 ID:LAH+pWiZ0
僕は静かに席を立ち、家から持ってきた水筒の中身を確認する。
空だった。
(……もうそんなに作ったっけ?)
予想外の事に、僕は途方に暮れる。
そうこうしてる間に、先輩の手がティーカップに伸びて、口元に運び、そして動きを止めた。
「―――君。紅茶が無いようだけれど」
「すみません先輩。お湯が無いです」
「…………………………そう」
心底から悲しい表情を浮かべる先輩。
ああ、やってしまった……。
さっき作ったときにお湯が無いと言っておけば、こんな表情をさせずに済んだのに。
「すみません、先輩」
「いいのよ。よく考えたら、もう帰る時間だもの。残ってなくて当然よ」
先輩は苦笑いしながら本に栞を挟む。
時計を見ると、短針は六時を目前にしていた。
「もう帰りましょう。家に帰ったら美味しい紅茶をお願いね」
本をカバンにしまい込みながら先輩は席を立つ。
僕はカップを慌てて片付けて、先輩に続いて教室を出る。
先に教室を出た先輩は、既に鍵を準備していた。
「僕を閉じ込める気ですか。紅茶が飲めなかった腹いせに!」
「そんな事するわけないじゃない。鍵、返してくるから昇降口で待ってて」
「あ、僕も行きます」
「じゃあ、一緒に行きましょう」
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