過去ログ - 響「はるかさん」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:39:34.21 ID:nBNP/hFkO
幸いにもバッグの中身などは無事だったし、終点から自分の家もそう遠くない距離だったから徒歩で帰ることにする。
暗くなった街中では、数人とすれ違っても自分に気付く人はいない。

――ああ、夜中なら変装しなくてもばれないんだね。あんまり夜中に出歩くことなかったけど、今度からこれくらいの時間にイヌ美の散歩しようかな――

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:40:28.71 ID:nBNP/hFkO
そこには薄暗い蛍光灯の明かりと、飛び回る羽虫の他には特に何もなかった。
自分は何となく安堵の溜息をつき、そのまま歩を進める。そうして地下道の中盤辺りに差し掛かったくらいだったかな。


突然地下道の壁から、にゅっ、と何かが顔を出した。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:42:24.58 ID:nBNP/hFkO
あまりに唐突な出来事に、自分は情けない悲鳴を上げて尻もちを着く。
壁から生えてきたそれは、そのままずるずると斜め上に伸びてくる。
やがて足首まで壁から出てきた所で、重力を無視するような斜めの体勢で止まったそれは、頭にリボンを付けた女の子だった。
状況が全く掴めず自分はただただ呆然としていたんだけど、数分経ってもその子が微動だにしないので意を決して話しかけてみることにした。


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:43:33.56 ID:nBNP/hFkO

響「ね、ねえ君……」

返事はない。それどころか反応もないし、顔や視線をこちらに向けすらしない。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:44:57.42 ID:nBNP/hFkO
そんなしょうもないことを考えていると、自分はとんでもないことに気付いてしまった。

彼女の膝の所に、顔が付いていたのだ。

膝の方の顔はソフトボール大くらいで、頭に付いてる方の顔と全く同じ顔をしていた。そして、どういう仕組みなのかは全くわからないけどくるくる回っている。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:48:59.08 ID:nBNP/hFkO
自分が恐怖で逃げるどころかその子から目を離すことすらできずにいると、後ろからカツカツとヒールの音がした。
慌てて振り向くと、自分のすぐ後ろにスーツ姿の女性がいた。
あの女の子に集中し過ぎて、まわりが全く見えてなかったらしい。
その女性は、まるで女の子が見えてないみたいにぶつからない場所を素通りして、そのまま地下道から出て行った。
自分はまたもや呆然としちゃったけど、とにかくここから離れようと思ってそろーりと壁から生えてる女の子の前を通り過ぎて、スーツ姿の女性を追いかけた。


13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:50:46.85 ID:nBNP/hFkO
女の子は目の前を通った自分にも当然のように無反応で、地下道を出る直前にちらっと振り向いた時も全く動かずに最初の場所で斜めに生えたままだった。

響「あ、あの!すみません!」

地下道を出た自分は、さっきの女性に追いつき声を掛ける。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:51:56.98 ID:nBNP/hFkO
響「さっきの女の子なんですけど……あの、膝に顔のある……壁から生えてた……」

そこまで言って、少しだけ後悔する。

響(もしもあれが幽霊で自分にしか見えていなかったら、自分は完全にイタい子だと思われるよな……ていうか、自分で言ってても分かるくらい支離滅裂だぞ……)
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:53:50.59 ID:nBNP/hFkO
女性「あの子はね。誰がそう呼び始めたかは知らないけど、はるかさんって呼ばれてるわ。
あの地下道の壁にたまに生えてるの。」

響「た、たまに生えてるってそんな、キノコみたいな……」

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:58:12.10 ID:nBNP/hFkO
なんだか、悪いことをしてしまったことを親に打ち明ける子供に近いような心境でそう言うと、女性は少し驚いた後優しい笑みを浮かべた。

女性「でも、こうして無事に出られたから大丈夫じゃない?それに私も初めて彼女を見た時、触ろうとしちゃったわよ」

響「ええっ!?そ、それでどうなったんですか!?」
以下略



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