1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/11(金) 21:06:37.35 ID:7iy1jcu1o
雨は嫌いだ。あの日の事を思い出してしまうから。
キミがボクの腕の中で、冷たくなっていったあの日を。今でもずっと、忘れられないあの日を。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/11(金) 21:07:06.17 ID:7iy1jcu1o
「……おはよう」
ボクはいつものように彼女に朝の挨拶をする。
彼女はボクの方を見てふわぁ、と大きな欠伸をすると、
「おはよう、今日も早いね」
右手をひらひらと振りながら、そう挨拶を返した。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/11(金) 21:07:52.14 ID:7iy1jcu1o
「……どう?」
よほどお腹が空いていたのだろう、彼女はボクの言葉にしばらく答えず器を貪っている。
やがて器の中身を空にしてからボクの方を見て、
「……おかわりは、ある?」
そう上目遣いに聞いてきた。
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2014/07/11(金) 21:08:42.74 ID:7iy1jcu1o
キミは食べないの?おいしいよ?」
流石の彼女もおかわりの時は周りを見る余裕があるのか、器から顔を上げてこちらを見ながらそんなことを言った。
「……大丈夫。お腹、減ってないから」
「ふーん……そっか」
結局おかわりも皿を舐めるまで堪能した彼女は、満足そうに満面の笑みを浮かべるとソファーで横になった。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/11(金) 21:09:15.00 ID:7iy1jcu1o
お腹いっぱいになったら、眠たくなっちゃった……」
もう既に半分寝入りそうな声で彼女が言う。
言葉に続きはないが、ボクを離そうとはしない彼女が続けようとしたであろう言葉は一つだろう。
彼女に引っ付かれたまま、さっきまで寝ていたソファーまで彼女と移動すると、ボクもそのまま横になった。
まだ臭わないか少し心配だったが、彼女はそんなこと気にしていないのかぐりぐりとボクの背中に頭を擦りつけて、
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2014/07/11(金) 21:09:50.58 ID:7iy1jcu1o
……ん」
体に重みを感じて、ボクは目を開ける。目の前に広がる白い布と、豊満な胸。彼女がボクの上に圧し掛かっている、と理解するのに数秒かかった。
「ご、ごめん。重かった?」
僕が目覚めたことに気付き、素早く飛びのく彼女。あまりにも勢いよく飛びのいたので、そのまま自分の服の裾を踏んでずでんと転ぶ。
噛まれた肩をぱんぱんと払い、僕は彼女に手を伸ばす。そのまま彼女の体を抱きかかえると、真っ直ぐ立たせた。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/11(金) 21:10:22.46 ID:7iy1jcu1o
「……」
「……」
無言のままボクはその腕を拾うと、付いている方の彼女の手にそれをポンと渡す。
やはり先延ばしにするべきではなかったらしい。さっきまで表情豊かだった彼女が、虚ろな瞳でボクを見つめ返している。
「……少し出かけてくるね」
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