過去ログ - 先輩「そこから見えるのは、どんな景色ですか?」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:30:05.42 ID:8oJAdiKmo

 彼らは思い思いのことをして遊び、思い思いの相手と関わりあった。
 そんななか、「わたし」はあるとき、穴を掘りはじめる。
 庭園の隅の方で、理由もなく、白い服を土で汚しながら、ただ延々と。
 
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:31:23.02 ID:8oJAdiKmo



 家に帰ると、リビングのソファの上で膝を抱えて、妹がしくしくと泣いていた。

以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:32:12.75 ID:8oJAdiKmo

 それでも試みるくらいはいいかもしれない。
 そう思って、俺は訊ねてみた。

「なにかあった?」
以下略



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:34:58.96 ID:8oJAdiKmo

 ドラマが終わった。テレビを消した。
 妹はしばらく黙り込んでいたが、やがて、ふたたび、しくしくと泣き声を漏らし始めた。

 気を紛らわすものがなくなったからかもしれない。
以下略



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:36:27.98 ID:8oJAdiKmo

「シャボン玉」

「なんであるの?」

以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:36:59.26 ID:8oJAdiKmo

 しばらく出窓からシャボン玉を吹いていると、

「わたしもやりたい」とさっきまで泣いていたのを忘れたみたいな顔で妹が言うので、

以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:37:50.48 ID:8oJAdiKmo

「なんかたのしい」と妹が言ったので、俺はその場に彼女を残して台所に向かった。
 妹は一瞬だけ俺の方を気にしたようだったけれど、すぐにシャボン玉を吹くのに集中し始める。

 俺は流しの下の棚の中にしまっていたシャボン玉銃を取り出した。
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:38:30.51 ID:8oJAdiKmo

 シャボン銃を受け取ると、妹は出窓から腕を突き出してぐっと引き金を引く。
 からからという音と一緒に、吹き出し口からシャボン玉が飛び出していく。

「おお、これは……」
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28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:40:51.59 ID:8oJAdiKmo

「よーし」という彼女の声が、開けっ放しの出窓の方からかすかに聞こえる。
 重苦しい曇り空に向けて、彼女はしばらく引き金を引いていた。

 とくに楽しそうにも見えないけど、きっとはしゃいでいるんだろう。
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:41:21.83 ID:8oJAdiKmo

 それからしばらく彼女はシャボン玉を吹いていたが、楽しそうには見えなかった。
 むしろ表情が淡々としていて、退屈そうにすら見えた。
 
 ストローに息を吹き込むたびに空にまいあがる泡の群れを、彼女は熱心に目で追いかけていた。
以下略



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