6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:15:46.02 ID:9uLTT2Jd0
僕と高木の役割分担は、至って明瞭だった。
僕がアイドルの候補となる人材をスカウトし、高木が育てて売り込む。
僕の方が、良い人材を見つける能力に秀でる一方、高木は人を育てるのが得意だった。
仕事やライブの時は、僕が事前に戦略・企画立案を行い、高木が陣頭指揮を執る。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:17:35.86 ID:9uLTT2Jd0
「う〜ん――あの、とても光栄なお話であるのは良く分かるのですが――」
今日スカウトする一人目の子は、見た目とは裏腹に結構身持ちの堅い子だった。
昨今のアイドルブームに乗っかろうと、抵抗無く食いつく子も多いというのに。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:19:32.57 ID:9uLTT2Jd0
「実は私、卒業後は父が経営する会社に勤めることが決まっていまして――」
「えっ、あ、そ――そうなんだ」
家のことを持ち出されると、さすがにキツイ。
高い身長、控えめだが美しいボディライン、ショートカット、キリっとした目鼻――。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:21:33.69 ID:9uLTT2Jd0
二人目の子は、先ほどの子とは違い、とても明るく元気な子だった。
「本当に、私をアイドルにしてくれるんですか!?」
おまけに、アイドルというものに強い憧れもあるようだ。
さすがは高校生。未来が眩しくて仕方がない年頃なのだろう。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:24:51.52 ID:9uLTT2Jd0
「おーい、アキコおめぇ何やってんだ?」
ふと、聞きなれない声がした方を見ると、制服姿の大男がすぐそばに立っていた。
この子のツレか――勝手な印象だが、総身に知恵が回りかね、と言ったところか。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:27:02.39 ID:9uLTT2Jd0
左頬がまだヒリヒリと痛む。
道端に放置された車のサイドガラスで少し確認したら、相当腫れていた。
今日は色々と散々な日だ。
思えばマフラーも忘れ、一人もスカウトできず、まして一人から平手打ちを喰らう――。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:29:02.84 ID:9uLTT2Jd0
ほんの少し緑がかったセミロングの髪。
右の目元にある泣きぼくろも、何だかセクシーだ。
それでいて、穏やかなで優しそうな印象を与える横顔。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:30:30.46 ID:9uLTT2Jd0
「あ、いや――」
馬鹿か僕は、何で声をかけたんだ。
この子にダンスをやらせる気か? 絶対無理だ、賭けてもいい。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:32:21.85 ID:9uLTT2Jd0
「へっ? あ、いや――」
一瞬、何を聞かれたのか理解できず、変な声が出てしまった。
マフラー――何でいきなりマフラーの話を?
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:34:09.87 ID:9uLTT2Jd0
「お前らしくねぇなぁ」
翌朝、したくもない話をしてやったところ、案の定高木は呆れた様子だった。
「昨日クリーニングに出したっつったって、今日までに仕上がるはずねぇじゃん。
今日その子が来たらどう言い訳すんだよ」
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2014/07/24(木) 14:36:14.62 ID:9uLTT2Jd0
「もし本っ当に、からっきし運動できないとかいう子だったら、俺も面倒見きれねぇぞ」
高木が一瞬、不安そうな顔を覗かせ、またいつものニヤケ面に戻った。
「半端モンのアイドル担ぎ上げたって、新風は巻き起こんねぇんだろ?」
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