過去ログ - 昼下がりの女子中学生 百合ver
↓ 1- 覧 板 20 
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 00:15:06.55 ID:hxj0TQd00
 タクシーの中は意外にも涼しかったらしく、熱気から逃げるように私はカフェの扉を開けた。 
 カランカランとベルが来店を知らせる。 
  
 昼間なのに、薄暗い。カーテンから差し込む光で、辛うじて一角だけ明るいけれど。 
  
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 00:27:57.28 ID:hxj0TQd00
 「店長、お湯沸かすよー」 
  
 「あー、ちさとさん。かまわんかまわん」 
  
 店長はやや慌てて出てきて、カウンターの上の伝票に目を通した。 
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 00:39:29.71 ID:hxj0TQd00
 「そんなくそ甘いもの食べてると、糖尿になるよ」 
  
 「夜散歩しとるから大丈夫」 
  
 そんなので消費できるのか疑問だ。店長は作り置いていた粗挽きの豆をペーパーフィルターをセットしたドリッパーにぱらぱらと入れていく。 
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 00:52:09.25 ID:hxj0TQd00
 「英語は大事だ。英語を勉強するなら、英語の歌を覚えるのが手っ取り早い」 
  
 「うん、そうだね」 
  
 「だが、アメリカよりもやはりイギリスの英語が美しい。発音が綺麗だ」 
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 01:10:35.03 ID:hxj0TQd00
 抽出した液体がサーバーに溜まっていく。一滴、また一滴と。それを見るのは好きだった。 
 店長は冷凍庫から氷を取り出して、サーバーにたっぷりと落とし入れる。 
  
 「There's a lamp shini' bright in a cabin……」 
  
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 01:28:58.59 ID:hxj0TQd00
 店長のしわがれた歌声を聴きながら、アイスコーヒーに舌鼓を打つ。 
 ずっとこんな日が続けばいいのに。 
 何にも縛られない。 
  
 店長はそのうちハーモニカを吹き出していた。 
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 01:41:33.62 ID:hxj0TQd00
 気が付くと、誰かの背中に負ぶわれていた。 
  
 「ふえ……?」 
  
 「気が付いた?」 
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 01:58:10.08 ID:hxj0TQd00
 斜陽が伊藤さんの顔を染める。 
  
 「心配した。あの書き置きはひどい」 
  
 「ちゃんと捜さないでって、お願いしたのに」 
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 02:19:04.85 ID:hxj0TQd00
 おばあの作ったご飯が、コンビニの弁当より美味しいことは分かり切っていた。 
 伊藤さんの隣で食べるご飯がいつもの100倍美味しいことも分かっていた。 
  
 素直に甘えられない私が、天邪鬼な私が、こんなに優しくされていいのだろうか。 
 伊藤さんは、もっと怒ってくれても構わないのに。 
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/08(金) 02:19:39.75 ID:hxj0TQd00
 いったんここまで 
136Res/80.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。