7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:34:44.87 ID:iKztUeSj0
宿題をしていた私は、休憩のために台所に入りコップに水を注いでいた。すると、すぐ隣で電話が鳴ったのだ。
部屋にいたら聞こえなかっただろうと思いながら受話器を取ると、父の声が聞こえた。
「おお、雪歩。家に居たのか。ちょうどよかった」
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2014/08/29(金) 23:35:36.44 ID:iKztUeSj0
大きな麦わら帽子を被り、外に出ると太陽がカンカンに照っていた。
ペットボトルの水を一口だけ口に含み、歩き出した。
1キロメートルくらい歩いたところで、大きな川が見えた。
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2014/08/29(金) 23:37:15.28 ID:iKztUeSj0
ふと、頭部に違和感を感じる。風でも吹いたのだろうか。頭に被っていた帽子がない。
「あれ…?」
自分の頭を何度も叩いて確認したが、それらしき感触はない。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:38:08.34 ID:iKztUeSj0
泣きながら歩いていると、目の前の木に見覚えのある麦わら帽子が引っ掛かっていた。
幸い低いところに掛かっていたので、少し背伸びすれば小さな私でも取ることができた。
「よかったぁ…」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:39:27.32 ID:iKztUeSj0
一度泣き止んだはずの泣き虫は再び泣き出し、住宅街の方へ足を運んだ。
下手に山に戻るよりも人に聞いた方が確実だと思ったのだ。
歩き続け、住宅街に着いたはいいが交差点で足を止め座り込んでしまった。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:40:30.44 ID:iKztUeSj0
私より一つか二つ年上だろうか。背が高く、整った顔立ちの凛々しい子だった。
「お腹が痛いの?頭?脚?おぶってあげようか?」
いろいろ質問をされたが、怯えていた私にとっては聞こえていないも同然だった。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:42:01.30 ID:iKztUeSj0
私の体はますます縮まり、その子からも目を逸らした。
「ごめん…なさい…」
「謝らなくていいから、家がどこか教えて。一緒に帰ろう」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:43:10.58 ID:iKztUeSj0
「速い…」心の中でそんなことを思っている間にも、まるで風のようにその子は走り続けた。
軽々と山を登り、30分掛かったか掛からないかくらいの時間で家まで着いてしまった。
「ここだよね?」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:44:58.88 ID:iKztUeSj0
「じゃあボクは帰るから」
「あの、名前…」
「ボク?ボクは菊地真だよ」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:46:16.67 ID:iKztUeSj0
真さんと離れたくない。そんなことを考える前に、無意識に口が動いていた。
「あの…!その…また会いたいです…。お礼もしたいし…」
「お礼なんていいよ。でも、ボクだったらいつも山の麓の秘密基地にいるよ」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 23:46:57.08 ID:iKztUeSj0
【7月30日】
今日は真さんとひみつき地に行きました。かわいいくまのぬいぐるみやリボンがかざってあって、ちょっと真さんにはにあわないと思いましたが、すごく楽しかったです。
【7月31日】
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