過去ログ - 傭兵「この世でお前が一番大事」僧侶「じゃありま……えっ?」
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:29:43.01 ID:PenK6jnl0
どうやらとぼけている風には見えません。話が食い違っている。頭の中に一つの可能性が浮かんできますが、同時に、昨日見聞きしたものが確かに事実であることを、何より自分が一番よく知っているのです。
あそこは間違いなく傭兵さんの部屋で、聞こえてきた嬌声は女性のもので、恐らく行為に付随するソレです。傭兵さんが自室を貸していた? まさか。
ならば相手は傭兵さんである以外に考えられません。だのにとぼけている感じでもないのは一体どういうことなのか。
以下略
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:30:47.00 ID:PenK6jnl0
止まらない。
僧侶「いやほら、別にだからどうしたってわけじゃないんですけど、プライベートとオフィシャルの使い分けは大事って言うか、気まずい思いをするのもあれじゃないですか?」
以下略
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:31:40.78 ID:PenK6jnl0
そして、目下のところ一番わたしの近くにいるのは傭兵さんです。お願いです、わたしを止めてください。殴ってでも。もしそれができないのだったら、せめて気味悪がって逃げてください。嘘です。気味悪がらないで、それでも逃げてください。
必死にそう叫びましたが所詮絵空事なのです。わたしの肉体は依然、昨晩の出来事を婉曲的な表現でもって避難しています。
顔を真っ赤にして手を握り締めながら、真摯な様子で訴えかける、目の下にクマのできた奇怪な女が廊下の中央にいました。
以下略
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:32:32.67 ID:PenK6jnl0
傭兵「とりあえず、だ」
ここでようやく意味のある言葉を彼が吐き出しました。わたしの肉体がそれによってびくりと振るえ、硬直したのを好機と見て、漂っていた精神がようやく肉体を取り戻します。
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:33:14.98 ID:PenK6jnl0
仕方がありません。とわたしは納得します。だって傭兵さんですから。お金にがめつい守銭奴でありながら、しかし、それをちゃらにするくらい魅力的な人物なのです。恋人の一人や二人いてもおかしくはありません。
いや、二人いては浮気になるのですが。ただしそれが男性の甲斐性というのでしょうか。英雄色を好む、とも言いますし。
そもそも、これまで彼に恋人がいないと思っていたこと自体がわたしの希望的観測に過ぎなかったのです。楽観的というか、まさかこの人が女に現を抜かすなんてことはしないだろうと思っていた部分は、確かにあります。
以下略
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:34:08.75 ID:PenK6jnl0
傭兵「ただ、わからないところがあるんだが」
僧侶「はい」
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:35:14.67 ID:PenK6jnl0
傭兵「朝っぱらからわけわかんねぇ。俺ァ行くぞ」
昨日と変わらぬよそよそしさを発揮しだして、傭兵さんは踵を返します。
普段の彼なら、あと二言三言、わたしを馬鹿にする言葉があってもおかしくないのに。
以下略
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:36:20.48 ID:PenK6jnl0
傭兵「あぁ……どうりで。恋人だの、お祝いだの、いつにもましてわけわかんねぇこと言ってんなぁと思ってたら、そういうことかい」
呆れ顔の傭兵さんでした。
以下略
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:37:33.24 ID:PenK6jnl0
僧侶「えー、遊んでくださいよー」
冗談めかして言ってみます。冷静な頭でやけにどこかがうるさいぞ? と思えば、それはわたしの心臓なのでしたからたまりません。
それは莫大な勇気を必要とする行動でした。そんな台詞を吐くこと自体にかなりの勇気がいるだけでなく、どこかよそよそしい傭兵さんを前にして、どんな断りの文句が飛んでくるのかわかったものではなかったからです。
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:38:34.70 ID:PenK6jnl0
傭兵「部外秘だ」
僧侶「一応わたしだってPMCの事務と経理やってんじゃないですか」
以下略
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◆yufVJNsZ3s
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2014/09/21(日) 08:39:22.55 ID:PenK6jnl0
そのまま彼は後ろを向いて、もう一度「悪いな」とかすかに呟いたかと思うと、ゆっくり歩き出します。
僧侶「何か言ってくださいよ、傭兵さん」
以下略
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