過去ログ - 穂乃果「私はあなたのものだから」
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207: ◆KZH78Pv7kI[sage saga]
2015/04/03(金) 13:13:53.17 ID:pIyDd0Ai0
「……君には、本当に感謝している。もしかしたら寂しい人生を送らせていたかもしれないあの子が、今では口を開くたびに、君の名前を呼んでいるし、それに明るくもなった。それは、本当に君たちと出会ったからだと思う」

とても、とても優しい口調。この人が西木野総合病院の院長で、それに真姫ちゃんのお父さん。

「君は、あの子の夢を知っているかい?」

「あ、はい!お医者さんになって、病院を継ぐって言ってました」

「……そう。だから、本当は私たちはアイドルをさせていたくはない。けれど、あの子は成績も下げないし、アイドルも続けるといった。実際にそれは叶っているし、それに模試の判定も問題なく良い判定を維持している。本当に今という時間を大事にしている証拠なんだろう」

「えっと、あの……」

嫌な予感がする。どうして私でも知ってることを言うの?なんで、そんなことを聞くために私に会いに来たの?

「君が真姫と交際していることは知っている。同性愛がどうこうというのはこれからの時代においてはもはや意味をなさなくなるだろうし、それを咎めるつもりはない。ただ」

背筋がピリピリと痛くなって、私の勘が言ってる。多分これは、そうだ。

初めてのことだからいまいちはっきりとはわからないけど、そう。

『別れてほしい』って。

早く言ってほしいけど、言わないでほしい。もうこれ以上私たちの間に入ってこないでほしい。出て行ってほしいのに、私は、言えない。そんなことを言ったらもっととても大きく壊れてしまいそうな感じがして。

「?」

きょとんとしたふり。でももう核心に触れそうなことがわかる。ただ、息をのんでその言葉を待つ。待ちたくないその言葉は、土下座をしながら重く、苦しく紡がれた。



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