過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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100: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:45:16.84 ID:8uac0BgmO
「ちょっと……冗談でしょ」

戸惑いつつも気だるげな、にこの言葉に少し傷付いた。

縋り付いて、泣き付いて。みっともなくても確かに伝えた愛の告白。
以下略



101: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:46:19.77 ID:8uac0BgmO
「今日、一緒に帰りましょう」

私の腕の中で、少女が顔をしかめた。

「……嫌なの?」
以下略



102: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:47:49.61 ID:8uac0BgmO
「にこの体調が悪そうだから、私が一緒に送って帰るわ」

屋上での私の言葉に意を唱える者は誰ひとりとして居なかった。

日頃の信用の積み重ねか、それともにこの身を案じてのことか。どちらにしても私にとって都合の良い事に代わりはない。
以下略



103: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:50:04.46 ID:8uac0BgmO
にこの居ない屋上で、真姫はいま何を思っているだろう。

今日、最後に見た真姫の表情がフラッシュバックする。

にこを送って帰ると、そう告げた時の真姫の表情。不安でぐちゃぐちゃにかき乱された、むき出しの感情。
以下略



104: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:52:32.51 ID:8uac0BgmO
にこが自宅に入っていくのを見送って、私は独り来た道を引き返す。

先程と全く同じ道のりを辿って。だけど隣ににこが居ないだけで、広くなったように思える道幅。

寂しい。そう口にするのは憚られた。そんな事を言い出してしまえば、本当はもっとにこと共に同じ時間を過ごしていたかったのだから。
以下略



105: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:54:05.23 ID:8uac0BgmO
「……エリー」

一瞬だけ私を見つめた瞳は、だけど遠くを見ているように焦点が合わない。

病人のように白い肌。変化の乏しい表情。
以下略



106: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:55:27.14 ID:8uac0BgmO
血液が燃えたぎるほどの私の怒りを。

「……無駄よ」

しかし、彼女が短く言い放った言葉が凍り付かせていく。
以下略



107: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:58:00.16 ID:8uac0BgmO
小気味よいチャイムの音も、今は耳障りに響くだけだった。

「……いったい誰よ」

けれど、さすがに無視する訳にはいかない。まるで痺れたように重い足を引きずって、私はドアスコープを覗き来客の姿を確認する。
以下略



108: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 13:59:33.30 ID:8uac0BgmO
「……真姫ちゃん、お料理苦手じゃない」

いいわよ、無理しなくて──。そう言葉にする前に。

「私の隣でにこちゃんが作り方を教えてくれれば、平気よ」
以下略



109: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/24(月) 14:01:48.75 ID:8uac0BgmO


鼻腔をくすぐるのは、優しく包み込むような卵の薫り。

スプーンでひと掬い、口に運べば。それはより一層風味を増していく。
以下略



110: ◆gDTYF1szXU[sage]
2014/11/24(月) 14:06:48.60 ID:8uac0BgmO
今回はここまで。読んでくれる人が居るというだけでモチベーションがあがります。ありがとうございます。

あと次の投下ですが、今回が遅れた分、少し早めにしようと考えています。がんばります。


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