過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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30: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/10/17(金) 17:04:43.29 ID:bug6hAgWO
「……ごめんなさい」

顔を見せないまま、くぐもった声で真姫ちゃんは告げる。

他の皆は既に屋上へ向かった後だったので、部室に居るのは私達だけ。

そういうことで図らずも昨日と同じシチュエーションに陥ってしまう。

(しまった……)

今頃になって気が付いても遅い。

「やっぱり……来るんじゃなかった。学校、休めばよかった」

徐々に不明瞭になってくる声色からは、いつもの真姫ちゃんらしい強かさは微塵も感じられない。

弱気で後ろ向きで臆病で。初めて晒された彼女の新たな一面。

それでも不思議と違和感はない。繊細な癖に不器用で、意地っ張りな真姫ちゃんらしいとさえ思った。

「ずるい」

彼女のそういう所が、にこは嫌いになれなくて。

……ううん、そうじゃない。堪らなく、好きなのだ。

本当は誰より弱くて傷付きやすい癖に。

それなのに、たったひとりで凛と生き抜いてやるって顔をして。

そんなの、放っておける筈がない。まったく真姫ちゃんたら、最高に魔性の女なんだから。

(さて、これからどうしてしまおう)

既に9割方出揃った答えを見比べて、私は往生際悪く悩んでいるフリを。

「ずるいよ。真姫ちゃん」

泣き腫らしたまぶたの下から覗く上目遣いの瞳。そこには淡い期待の色。

「そんなに泣かれたら、好きじゃなくても気になっちゃうし」

ごめんね。意地悪で。だけどこのくらい、大目に見て欲しいの。

「好きだったなら、尚更よ」

意地悪なにこで良ければ、真姫ちゃんのモノになってあげるから。


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