過去ログ - 高垣楓「時には洒落た話を」
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/12(日) 23:25:09.14 ID:VgB7duhgo

これまでとは違う、真剣な声色だった。
驚いて楓さんを見つめると、楓さんもその神秘的な瞳で真っ直ぐに見返してくる。
それからポスターへ向き直ると、渋谷さんの足下へじっと視線を注いでいた。

 「素敵なドレスも、着たいです」

 「楓さん」

中途半端な返答は、今の彼女にとって失礼になってしまうだろう。
頭の中で慎重に言葉を選びながら、こちらも真剣な気持ちで応える。

 「CGプロにとって、シンデレラも、ガラスの靴も、特別な意味をもつ事は分かりますよね」

 「名前が、名前ですから」

 「たぶん楓さんが考えている通りです。普段はシンデレラや、それに準ずるイメージの引用は事務所の方針で制限されているんです」

許されるのは、それ相応の実力を示した者のみだ。
十時さんも、蘭子ちゃんも、渋谷さんも。間違いなく血の滲むような努力を繰り返した結果が認められたからだ。

 「いつか。いえ、近い内に、必ず」

まだ、俺と楓さんの力では、悔しいけれどそこには届かない。

だから。

 「楓さんに、ガラスの靴を、魔法のドレスを。用意してみせます」

今はまだ、約束をするのが俺にとっての精一杯だった。


 「期待、してます。 ――履きたいですから」


思わず脚から力が抜けて、靴が脱げそうになった。


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