3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/05(水) 20:02:40.32 ID:7XpzpOnTO
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彼女は物事の悲観的な部分に美しさを見出す人だった。
幸福より不幸に、生より死に、ハッピーエンドよりバッドエンドに、出逢いより別れに。
一度だけ一緒に行ったカラオケでも悲しい歌を唄っていた。
彼女の好む映画も何だか胸が塞ぐようなものばかりだった。
そんな彼女と出会ったのがいつなのか、どこなのか、はっきりと覚えていない。
大学に入学してからなのは確かだし、出会ったのも大学構内だったはずだ。
しかし僕らが出会うきっかけが何だったのかは覚えていない。
サークルの新歓だったかもしれないし、一般教養科目の講義だったかもしれない。
もしくは友人の友人だったのかもしれない。
全部違うのかもしれない。
大切に思っていたはずなのに。
大切に思っているはずなのに。
何にせよ彼女はいつの間にか僕の周囲にいて、いつの間にか僕の生活に溶け込んで、いつの間にか僕の隣にいた。
それは不思議としか言いようがなかった。
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