過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/03(水) 22:41:52.73 ID:dm2TomSio

とまあ、それはさておき。これで部屋の中はあらかた見て回った。今からは――

「えっと……じゃあ、そろそろ話の続きに移ろっか?」
「はい!」

舞園さんは元気よく頷く。入学式の前から心待ちにしていたこの時間が、ようやく訪れた。舞園さんも同じみたいで、溢れんばかりの嬉しさをその表情に湛えている。
一緒にハイテーブルまで向かい、椅子を引いてそれぞれ腰を下ろす。……楽しみにしてた話の続きだけど、いざするとなると何か少し緊張してきた。

と、改めて二人きりな事を意識していると、舞園さんが座ったまま、部屋の中をきょろきょろと見回し始めた。

「どうしたの? 舞園さん」
「あ、いえ……今更なんですけど、少し感慨深くなっちゃって。男の子のお部屋にいるんだなあ、って」
「え? ……もしかして、男子の部屋に入るのは初めてとか?」
「はい、そうですよ? そんな機会、今までありませんでしたからね。ただでさえお仕事が忙しかったですし……そもそも、そこまで仲の良い男の子の友達がいなかったんですけど」
「そ、そうなんだ……」

……って事は、彼氏なんかもいないって事でいいのかな? そうだと分かると、何か妙に安心してしまった……。
でも、仲の良い男友達すらいないのは意外だな。舞園さん、すごくモテそうなのに。……何にせよ、初めて入る男子の部屋が僕の部屋だなんて、無性に嬉しい。

「……苗木君はやっぱり、女の子の部屋に入った事はあるんですか?」
「へ!? い、いや、ある訳ないよっ! そもそも、女の子の家に遊びに行った事だってないし……!」

……何か、言ったら猛烈に虚しくなってきた。まあ、事実だから仕方ないんだけどさ……。

「そうなんですか? ……じゃあ、お家やお部屋に招いた事は?」
「そ、それもないけど……」
「そうですか……となると、私が初めてのお客さんになるんですね。うふふ」

そう口にする舞園さんは、僕の目にはとても喜んでいるように映った。気の所為……なんかじゃないと思う。何だか僕も余計に嬉しくなってきた。

(それにしても……)

ホント、夢みたいだ……舞園さんが僕の部屋にいるなんて。部屋の中で二人きりだなんて……。
こうして向かい合うと、ついついじっくりと見てしまう。顔や髪なんかもそうだけど、この白い肌なんかも。
触れてみるとすべすべしていた、舞園さんの美しさを一層際立たせている綺麗な肌。近くで見ると本当に真っ白で……まるで、お人形さんみたいだ。

「人形じゃありませんよ? 生きていますから」

……ん? 舞園さん、何を言――

「って、あれ!? もっ、もしかして、僕今口に出してた!?」
「うふふ……実は私、エスパーなんです」
「……は?」

思わず取り乱した僕に対して、舞園さんは間髪いれず、そんなとんでもない事を笑顔で打ち明けた。
エ、エスパー……ってつまり、今僕の考えていた事に返事が出来たのは、心の中を読み取ったからだって言いたいんだろうか。
でもまさか、そんな事が出来るなんて……。幾ら舞園さんがすごいからって、流石にそこまでは……。

「あはは、冗談ですっ! ただの勘ですよ」

と、僕がそんな風に訝しんでいると、舞園さんは両手を横に振りながらそう言った。

「な、何だ……はは」
「ふふっ」

勘だったのか……まあ、エスパーなんて実在するとは思えないしな。ただ、勘だとしてもそれはそれで鋭すぎる気がする……。


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